日本銀行の7月の追加利上げ後に金融市場が混乱したことを受けて、衆参両院で閉会中審査が23日に開かれた。日銀の植田和男総裁は利上げの時期について「適切だった」と答弁。さらなる利上げに関しては、「金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」として継続を示唆した。(白山泉)

衆院財務金融委の閉会中審査で答弁する日銀の植田和男総裁(中央)。左端は鈴木財務相=国会で(佐藤哲紀撮影)

◆利上げ後に「一方的な円安の修正が進んだ」

 7月の利上げ後、株価暴落の一因となった円高が進んだことについて「世界的なドル安と私どもの政策変更もあり、一方的な円安の修正が進んだ」と説明。現在の金融市場は引き続き「不安定。極めて高い緊張感を持って注視する」と述べた。  一方、黒田東彦前総裁が導入した大規模緩和が超円安を招き、今の物価高の一因。金融引き締めが遅かったのではとの指摘に対しては、植田氏は「春闘がしっかりした姿になると予想できる3月に大規模緩和を終了し、その後も見通し通りと言うことで利上げをした」と述べるにとどめた。  植田氏は2000年に日銀がゼロ金利解除の利上げを決めた際には、当時審議委員として反対票を投じた過去がある。当時の判断と今回の決定の違いについて、今は2%の物価上昇が長期間続いており、「物価を巡る環境が前回とは大きく違う中での意思決定だった」とした。

◆「日銀内部はひと安心」と専門家

 23日は米国時間に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演も予定されていたため、発言次第では再び市場が混乱することを警戒したのか、閉会中審査での植田氏の発言には慎重さが目立った。  明治安田総合研究所の小玉祐一氏は「『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』と総じて同じ内容の発言だった」と振り返り、「最近は総裁発言でマーケットが動くことが多かった。今日は(為替などが大きく動かず)日銀内部はひと安心だろう」と話した。 

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