半導体不足を理由に新規発行が中止されていた交通系ICカード「Suica(スイカ)」について、JR東日本が今秋にも記名式カードの発行を再開することが、同社への取材で分かった。当初は今春の再開を目指していたが「在庫不足への懸念が払拭できない」として延期していた。

秋にも販売再開見通しとなった記名式Suica(JR東日本提供)

◆JR東日本「準備が整い次第、販売開始日を発表」

 スイカは内蔵のICチップを通じて駅などでの入金を記録し、その金額分を電子マネーとして、運賃や買い物に使える仕組み。記名式カードは、紛失時に入金済みの金額が補償される。JR東日本はこうした補償のない無記名式は昨年6月に、記名式は昨年8月に発行を中止。定期券用や小児用、障害者用などに限り発行を継続していた。  JR東日本によると、ICチップの在庫確保の見通しが立ったため、秋ごろに記名式から販売を再開できる見込みという。担当者は「準備が整い次第、販売開始日などを発表する」と説明している。  普段、スイカを持ち歩いておらず、夏休み中の子どもと東京に遊びに行く予定の新潟県柏崎市の女性会社員(38)は「新たに買えないと聞いて、学生の時に使っていたスイカを探した。発行が再開されそうでよかった」と話した。

◆PASMOの発行再開は「未定」

 首都圏では大手私鉄やバス会社の交通系ICカード「PASMO(パスモ)」も、スイカと同時期に無記名式・記名式の新規発行を中止している。各社でつくるパスモ協議会の広報幹事・相鉄ビジネスサービスによると「現時点での発行再開は未定」という。  一方、JR東海のTOICA(トイカ)やJR西日本のICOCA(イコカ)など他の交通系ICカードは発行を継続している。JR東日本などによると、交通系電子マネーの利用件数は伸びており、先月初めて、1カ月当たりの利用件数が3億件を突破したという。(奥野斐、梅野光春) 

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