19日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比1011円ほど安い3万7068円で取引を終えた。中東情勢が緊迫化して投資家がリスク回避で日本株の売りを強めたとされ、下げ幅は今年最大。3月ごろまでは円安で海外投資家の資金が流入する「円安・株高」の傾向だったが、4月になってからは「円安・株安」の潮目に変化している。

株価が表示された東京証券取引所(資料写真)

 19日は下げ幅が一時1300円を超え、2カ月ぶりに3万7000円を割り込む場面があった。前日の米国市場でハイテク株が下落したのを受け、東京市場でも半導体関連株が下落した。

◆37000円~42000円が「実力」との見方も

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は、「中東情勢が激化し原油価格が上昇している中で、投資家心理は強気から不安に変わっている。年明け以降、他の国よりも値上がりしていた日本株を売って、利益を確定した」と分析する。井出氏の試算では、3万7000~4万2000円が日経平均の「実力」とみており、この範囲で上昇と下落が続くとみる。  一方、野村総合研究所の木内登英氏は3月ごろまでの「円安・株高」の傾向について、「世界が利上げする中で日銀が金融緩和を続けてきたため、株価や不動産価格が過度に押し上げられていた」と指摘する。  最近の下落傾向には、物価高が国内経済に与える影響を懸念して日銀が利上げを早めるとの観測が強まる中、過度に膨張した株価が収縮しているとの見方を示す。その上で「日銀の利上げ観測が続く間は下落傾向が続き、3万円台前半まで下がってもおかしくない」と予測する。(白山泉) 

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