日銀の追加利上げが決まったとはいえ、依然として記録的な円安水準への懸念は根強い。城南信用金庫(東京都品川区)と東京新聞のアンケートで「望ましいと考える円ドル為替レート」を尋ねたところ、中小企業の8割以上が「140円未満」と回答。現在の為替水準との乖離(かいり)が鮮明になっている。(砂本紅年)

◆円安で「メリットが大きい」と回答したのはわずか2.5%

 調査は7月24〜26日、城南信金が東京都と神奈川県にある本支店を通じて実施し、取引先の中小企業731社に聞き取りした。  円安による影響については「デメリットが大きい」が43.5%を占めた。インバウンド(訪日客)効果などで「メリットが大きい」と回答したのはわずか2.5%だ。輸出をしている企業が6.6%にとどまることなどが背景にある。  具体的な円安のデメリットとして、飲食業や製造業、建設業などは「原材料費の増加」を挙げる企業が大半で、運送業は「燃料費の増加」「人件費の増加」を挙げる企業が多かった。コスト増加による価格転嫁は「まったくできていない」が4.2%、「ほとんどできていない」が18.1%、「一部できていない」が64.8%で、9割近くが不十分な状況。円安の継続により、39.7%が今後の「業績の悪化」を予想した。

◆66.8%が「1ドル=130円未満」望む

 望ましいと考える円ドル為替レートは「1ドル=130円未満」が66.8%で、「140円未満」まで含めると81.7%だった。  「早急な円安是正をお願いしたい」(品川区・運送業)、「仕入れ価格が高騰しており補助金を充実させてほしい」(大和市・介護事業)、「安定した相場でないと、安易に価格転嫁できない中小企業は立ち行かない」(横浜市・飲食業)など、政府・日銀に対し、コスト上昇に対する支援や円安是正を進める政策を求める声が相次いだ。 

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