【ニューヨーク=竹内弘文】米連邦預金保険公社(FDIC)は30日、米銀行の大株主であるブラックロックなど大手運用会社に対し、監視を強化する提案を可決した。運用会社が銀行経営へ影響力を行使できる点に超党派から批判が高まっていた。運用に制約がかかる可能性がある。
現行の制度上、銀行株の10%以上を保有する企業や個人は支配的な立場にあると見なされ、銀行監督当局であるFDICの規制対象となる。ただ、銀行経営に関与しないと確約することで、大株主は当局の規制を受けなくてよいという免除規定がある。ブラックロックやバンガードといった米運用会社が強みをもつ指数連動型のパッシブ投資ファンドは免除規定を活用していた。
今回の提案ではその免除規定を撤廃し、FDICが銀行に対する大型投資を審査することができるようになる。FDIC理事で米消費者金融保護局(CFRB)局長のロヒト・チョプラ氏は30日の公開会議で「監督する銀行の所有と経営を保護するという議会からFDICに託された責任を放棄するのは極めて不適切」と述べ、大株主の監督強化を訴えた。
存在感の高まるパッシブ投資には政治の逆風が吹いている。リベラル派は、実体経済と密接につながる銀行の株式を巨大なパッシブ投資ファンドが握っている状況を批判的にみる。保守派は、気候変動対策に積極的なブラックロックなどの運用会社が投資先の銀行に価値観を押しつけているように捉える。
提案は連邦官報に掲載した後、60日間にわたりパブリックコメントを募る。修正のうえ最終規則にするかどうか検討する。運用業界から反発の声があがるのは必至だ。
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