筋肉を鍛える人の増加や、新型コロナウイルス流行下での健康意識の向上により、タンパク質の含有量を強調した食品が人気だ。都内の食品メーカーもおいしく手軽にタンパク質を摂(と)れる食品の開発と販売に注力しており、市場規模は拡大している。(畑間香織)

丸善の高タンパク商品「PROFITささみプロテインバー」を手にする開発部の斉藤真行課長=台東区で

◆筋力アップや健康志向の高まり

 チーズかまぼこ「チーかま」や練り製品を製造する食品会社の丸善(台東区)は、鶏ささみを魚肉ソーセージのように包装した「PROFIT(プロフィット)ささみプロテインバー」を2014年6月から販売する。2本(130グラム)でタンパク質を22グラム摂れる。フィットネスジムやスポーツ量販店などで販売し、ボディービルダーやスポーツ選手らに人気だという。  同社開発部の斉藤真行課長(40)は「常温で持ち運べて調理も不要。甘くないので、3食に組み合わせて食べてもらえる」と話す。高タンパク質をうたう商品の市場が10年間で広がったのを受け、今年9月には食べ切りやすい1本入り(60グラム)を発売する。

◆肉の代わりに堅い豆腐のくし刺し

 豆腐メーカー、アサヒコ(新宿区)の「豆腐バー」(68グラム)も大ヒット商品だ。豆腐を棒状に固めた食品で、植物性タンパク質含有量は10グラムと絹豆腐の約2.7倍に上る。2020年11月から6月末までの累計販売本数は約6900万本に達した。

「豆腐バー」生みの親、アサヒコの池田未央社長=新宿区で

 開発したのは、同社の池田未央社長(51)。  視察で訪れた米国のスーパーで、タンパク源として肉の代わりに堅い豆腐をくしに刺して焼いたり、サラダに入れたりしているのを見て着想した。かみ応えや液だれ防止などの工夫をし、コンビニやスーパーで販売すると、コロナ太りの予防といった消費者の健康意識の高まりが後押しをして人気となった。  9月にはサツマイモや抹茶味の豆腐バーやチョコ味の豆腐プリンなどスイーツ系も発売。池田社長は「業務用の原料として外食産業で使ってもらうなどまだまだ可能性はある」と話す。

◆市場は10年で4倍以上の伸び

 大手の味の素(中央区)は、熱湯を注ぐだけの商品「たんぱく質がしっかり摂れるスープ」を2017年8月に販売。2022年3月にみそ汁を、今年3月にはスープパスタを展開。2023年1月には運動する30、40代の女性を意識して1回で20グラム摂れる「プロテインスープ」をECサイトで販売し始めた。

タンパク質を強調した商品名で販売する味の素のスープとスープパスタ=同社提供

 調査会社富士経済の2023年調査では、タンパク質を補給できる食品の2023年の市場規模は約2580億円を見込み、2013年の約623億円から4倍以上伸びている。 

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