人材育成のベンチャー企業「スコレ」(新宿区)が開発した経営シミュレーションゲーム「BMG」。変化の激しい世の中で生き残る考え方を身につけられるとして、大企業での社員研修を中心に導入が進む。社長の須藤奨さん(31)は「広い視野で経営を考えられる、次世代のリーダーを増やしたい」と語る。

清水建設の社員にゲーム形式の研修を実施する須藤奨さん=江東区で

◆5人チームで経営シュミレーション

 ゲームは5人前後のチームでプレーする。市場や他チームの状況を注視しながら、適切な投資のタイミングをメンバーで議論し判断する。途中で、感染症の流行や外国企業の市場参入といった試練を乗り越え、各チームが利益の最大化を目指す。  多くの日本企業では、経営者がキャリアのゴール。組織は縦割りで、若手社員は業務の全体感をつかみづらい。「社員と経営者では求められる能力が違う。経営判断や財務分析を早いうちに身につけることが重要になってくる」と力を込める。  英国で暮らした小学生時代、オンラインゲームで友達をつくり孤独感を克服。離れていても人をつなげるゲームの効果を実感したのが、開発の原点だ。IT企業の広告部門で収益確保にゼロから取り組んだ経験や、専門性を高めようと通った早稲田大ビジネススクールでの学びも、内容に反映させた。

◆失敗恐れず楽しく挑戦できる

 これまでメーカーや建設、金融など約20社が管理職や若手の研修で導入。新規事業に向けた柔軟な発想をはぐくむ目的で活用する清水建設(中央区)の担当者は「座学より定着しやすく、失敗を恐れずに楽しく挑戦できるのがいい」と満足する。今後は異業種間の研修などでも活用していく。須藤さんは「リーダーシップや判断力を最大限引き出せるよう、よりよいサービスをつくっていきたい」と意欲を見せた。(鈴木太郎) 

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