直近の外国為替市場で対ドルの円相場が1ドル=150円台前半で推移し、一時は160円を突破していた超円安が沈静化しつつある。円高が進めば食品など生活費の高騰に歯止めがかかるとの期待もあるが、2年以上続いた円安で既に上がったモノの値段は、容易に下がりにくい。(白山泉)  26日の東京外国為替市場は午後5時時点で1ドル=153円91~93銭。今月上旬には1ドル=160円台を超えていたが、11日に発表された米国の6月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことなどを機に、一時1ドル=151円台まで円高が進んだ。連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げするという金融市場の見方が強まったためだ。

◆アメリカが利下げすれば「160円台には戻らない」

 今後の為替相場について、野村総合研究所の木内登英氏は、「米国が利下げするという条件が揺るがなければ、もう160円台には戻らない」として、年末には1ドル=140~145円台になると予測する。  米国はコロナ収束に伴うインフレを抑えるため、政策金利を段階的に5%台に引き上げたが、日本はマイナス金利を今年3月まで継続。日米の金利差を背景に、2022年年明けの1ドル=115円台から、今春、160円を突破した。円安の進行は輸入物価を押し上げ、家計の節約志向を強めたとされる。  一方、円高が進めば、輸入物価の下落で家計負担の軽減が期待される。だが、練馬区のスーパー、アキダイの秋葉弘道社長は「物流コストも上がっており、上がった食料品の価格は簡単には下がらない」と話す。  モノの値段が下がりにくいのは、企業の賃上げも影響を与えている。東京都荒川区の中小企業経営者は「人材を引き留めるために無理して賃上げをしている」と指摘。「こうした状況では、せっかく値上げしたものを下げたくはない」と本音を漏らす。 

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