三井住友フィナンシャルグループ(FG)の株価が4日終値で前日比235円(2%)高の1万1245円をつけ、PBR(株価純資産倍率)1倍を回復した。終値ベースで1倍台に乗せるのは2014年以来10年ぶりとなる。国内外で金利高が意識され、大手金融機関の株価は本格的な上昇基調に乗っている。

株価は07年以来17年ぶりの水準だ。三菱UFJFGは3月にPBR1倍に達しており、大手では2行目になる。みずほFGも0.8倍台後半まで上昇している。

PBRの1倍割れは株価が企業の解散価値を下回ることを意味する。東京証券取引所は1倍に満たない企業を対象に改善を要請していた。大手行の幹部はこぞってPBRの向上へ意欲を表明していた経緯がある。

国内では日銀の利上げが取り沙汰されるほか、米金利も積極財政策をとるとみられるトランプ前大統領の大統領当選が意識されて上昇局面にある。金利上昇で大手行の収益改善が進むとの見方が株高の下支えになっている。

三井住友FGは9月末を基準日に1株を3株に分割する株式分割を10月1日付で実施する。株式を分割すると最低投資額が小さくなり、個人投資家を集めやすくなる。5月には1000億を上限とする自社株買いも公表。市場の追い風も機に投資家をひきつける施策を相次ぎ講じる。

もっとも、JPモルガン・チェースのPBRは1.95倍と、邦銀勢とは差がある。株高を機に、事業構成の入れ替えなど将来を見据えた経営の重要性は一段と増す。

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