武蔵野銀行本店の両替窓口では記念ポスターが出迎えた(3日、さいたま市)

新紙幣が発行された3日、埼玉県内の地方銀行で新札の取り扱いが始まった。新1万円札の「顔」を深谷市出身の渋沢栄一が飾ることで県内の注目度は高く、銀行店舗にはいち早く新札を手にしようと多くの人が詰めかけた。

渋沢が顧問を務めた「黒須銀行」を源流の一つとする埼玉りそな銀行は、約100店舗で新札の関連業務を開始した。さいたま営業部(さいたま市)では新札の両替機前に住民らの列ができ、黒須銀行の呼称である「道徳銀行」のシャツを着た行員らが案内にあたった。

埼玉りそな銀行のさいたま営業部には両替などを求める多くの人が集まった(3日、さいたま市)

同店営業第三部の千田賀子部長は「改めて顧客の関心の高さを実感した」と話す。旧紙幣が使えなくなると偽って現金をだまし取る被害が起きており、店舗で注意喚起も行う。

武蔵野銀行は県内の約90店舗で取り扱いを始めた。本店では午前10時半ごろから提供を始め、渋沢の写真入りのポスターやのぼりを店内に飾ってお祝いムードを盛り上げた。

同行は3~5日、新紙幣の両替や支払いの手数料を無料とし、県民に広く行きわたるようにする。長堀和正頭取は「新紙幣発行が経済や社会の一層の活性化につながることを期待し、地域の皆さまと連携した取り組みを積極的に行いたい」とコメントした。

埼玉県は3日、さいたま市で「渋沢栄一翁が目指した未来を語る」と題したトークイベントを開催した。大野元裕知事、渋沢栄一の玄孫(げんそん、孫の孫)の渋沢健氏、ゆかりの企業のトップや役員らが登壇した。埼玉りそな銀行の福岡聡社長は「道徳経済合一の考え方は銀行の経営哲学の支柱になっている」と語った。

大野知事から新札を受けとった(3日、さいたま市)

イベント終了後は旧札との交換会が開かれ、大野知事が一部の参加者に新札を手渡した。さいたま市の男性会社員(57)は新1万円札を受け取り「やっとこの時が来た」と喜びに浸った後、「温和な表情の肖像画が印象的だ」と感想を語った。

青木信用金庫(川口市)では4日から両替や引き出しができるようになる。埼玉県信用金庫(熊谷市)は4日から取り扱いを全店に広げる。

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