日銀短観では、企業のデジタル化や省人化投資が旺盛なことが明らかになった

日銀が1日公表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、好調な企業収益を背景に強気な設備投資の姿勢が明らかになった。2024年度の大企業製造業の設備投資計画は前年度比18.4%の増加となり、3月調査時点の8.5%から大きく上方修正された。

全規模全産業では8.4%増加した。好調だった23年度の10.6%までは届かないが、自動車部品や電動化投資、インフラ関係などで投資需要が聞かれたという。

大企業非製造業の設備投資計画も前年度比7.0%増と、3月調査の1.5%から上方修正された。深刻な人手不足でデジタル化や省人化投資の必要性に迫られている。

年度の計画が固まる6月調査では大企業、中小企業ともに上方修正になるのが通例とはいえ、改めて設備投資意欲の強さが明らかになった。人手不足による工期の遅れで先送りしてきた投資も含んでいるとみられる。

人手不足感は歴史的な水準が続いた。雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引いた雇用人員判断指数(DI)は大企業非製造業が2ポイント悪化しマイナス39だった。1991年のマイナス40以来およそ33年ぶりの水準だ。トラック運転手の時間外労働の上限規制が4月から始まり、いわゆる「2024年問題」も人手不足に拍車をかける。

全規模全産業はマイナス35となった。3月調査のマイナス36からわずかに改善したが、例年6月調査では新卒社員の入社により不足感が弱まりやすい。先行きはほとんどの規模、業種でマイナス幅を拡大する予想で、全規模全産業では5ポイント不足感が強まる見込みだ。

企業収益の水準の高さも投資余力に貢献する。23年度の全規模全産業の経常利益は前年度比12.4%の増益で着地した。24年度は23年度比7.5%減少する計画だ。

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