プロ野球選手らアスリートの地位向上につながる環境整備や、引退後のキャリア支援を手がける「ナイスガイ・パートナーズ」(品川区)。岩手・花巻東高から米スタンフォード大に進学する佐々木麟太郎選手のサポートなど、海を越えて事業を展開する。社長の木下博之さん(48)は「社会にもっと笑顔が増えるように、選手の価値を最大化するお手伝いをしたい」と熱く語った。(市川千晴)

アスリートとの出会いを語る木下博之さん=千代田区で

◆キャリア支援を軸に

 2009年創業の同社。アスリートが主体的に輝くことを目指したマネジメントやキャリア支援を軸に据えるが、体育会学生らの就職支援にも力を入れる。「学生アスリートに対する企業の期待は高いが、実は自分の強みや弱みに気づいていない学生が多い」。セミナーや企業説明会を開き、自ら講師として就職の心構えなどを解説、多くの学生を企業に送り出した。プロ入りする学生には、弁護士や公認会計士らの協力を仰いでコンプライアンスや税金に関する研修会も続ける。

東京六大学野球の3年生を対象にした「就活スタートガイダンス」では講師も務めた木下博之さん

 16年には、スポーツ科学を用いてデータを計測、解析するベンチャー「ネクストベース」(同区)を共同創業し、選手のパフォーマンス向上や、プロ球団の戦力強化などに一役買っている。

ネクストベースの顧客は米大リーガー、プロ野球選手から小学生まで幅広い

◆自らの野球人生が原点に

 こうした選手目線の事業展開は、自らの野球人生が原点にある。幼少期から野球一筋で、慶大野球部に在籍。4年時は元巨人監督の高橋由伸さんを3番とし、4番打者として東京六大学リーグの春季優勝に貢献した。

慶大野球部時代は、主将の高橋由伸さん(左)と共に副主将としてチームをまとめた

 卒業後は三井物産に入社し、スポーツレジャー商材の輸出入などを担当、米国や中国にも駐在した。国際競争の最前線では自身の強みを意識する機会も多く、「選手を直接サポートする仕事に携わりたい」との思いに至った。  スポーツマネジメントを手がけるPR会社に転職。スポーツビジネスだけでなく、貧困克服の「ホワイトバンド」プロジェクトや日本郵政の民営化PRなどに携わり、官民連携や事業を通じた社会貢献にも精通し、満を持して創業した。  独立後は持ち前のフットワークを武器に、球界関係者や米大リーグにも人脈を広げ信頼を重ねてきた。その延長から佐々木鱗太郎選手の支援も始まった。「若者の新たな可能性や選択肢を広げる開拓者、挑戦者でもある佐々木麟太郎選手の支援ができ幸せだ」。社名に込めた思い、社会全体の利益も考えるナイスガイな人たちの社交場を創造できるよう挑戦を続ける。   

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