火力発電所での二酸化炭素(CO2)排出を減らす改修や、原発など脱炭素につながる発電所の建設を支援する国の制度「長期脱炭素電源オークション」が1月から始まりました。担当する電力広域的運営推進機関(オクト、江東区)需給計画部の横谷亮(あきら)さん(41)に制度について聞きました。(砂本紅年)

横谷亮さん

◆発電所の新設や建て替えを支援

 Q 導入の背景を教えてください。  A 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする政府目標に向け、電力会社は脱炭素の発電所を増やす必要があります。一方、16年の電力自由化で、電力の安定供給に必要な費用と利益をあらかじめ回収できるよう電気料金を決める方式が廃止され、巨額の費用がかかる発電所の建設に踏み切れなくなりました。制度は、発電会社が投資額や運転に伴う経費を回収し、収支が見通せるよう導入されました。  Q どんな仕組みですか。  A オークションには脱炭素に貢献する発電所の新設や建て替え、改修をする事業者が応札します。落札された電源は運転開始から原則20年間、約定した落札価格分の収入を保証されます。オクトはその費用に充てるため、電力小売会社を通じて消費者から集めたお金をまとめ、落札した発電会社に分配します。ただし、発電した電気を売って得た利益の約9割はオクトに返納され、電力小売会社に還元されます。  Q 初回オークションの結果は。  A 最も容量が多かったのは、将来的に脱炭素化することを条件に緊急募集した液化天然ガス火力。原発は、中国電力の島根3号機が落札しました。島根3号機は新設案件ですが、次回入札から既設の原発も対象に含める検討が国で始まっています。 

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