団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」を巡り、中小企業では高齢の経営者が後継者難に直面し、事業をどう引き継ぐかが課題になっています。国が東京商工会議所に開設した支援機関で、23区内の中小から相談に応じる「都事業承継・引継(ひきつ)ぎ支援センター」の藤田善三センター長に、事業承継の現状を聞きました。(大島宏一郎)

東京都事業承継・引継ぎ支援センターの藤田善三センター長

◆80代経営者からの相談も

 Q 同センターに寄せられる相談には、どのような傾向がありますか。  A 2023年度の相談件数を見ると、会社を売りたいという方は22年度とほぼ同数でした。年齢は60代から70代の方が多く、中には80代半ばの方が来ることもありました。25年以降は、後継者未定で廃業せざるを得ない会社が緩やかに増えると思います。

◆ITや建設業からM&Aの引き合い

 Q 会社を買いたいという人はいますか。  A はい。一番のボリュームゾーンは「会社の規模を大きくしたい」という中小企業です。特に(最近は)人手不足もあり「人手を確保したい」というIT会社や建設会社が多く、中小企業の間でM&A(企業の合併・買収)が浸透してきたと感じます。  Q 今後どのように中小を支援しますか。  A コロナ融資で廃業件数は減りましたが、7月から返済のピークが始まるため、今後はその揺り戻しがあることも考えられます。このため今年から、都よろず支援拠点や都中小企業活性化協議会など他の支援機関との連携を強化。3機関が信用金庫の支店にお邪魔し、取引先の課題をどう解決するか、協議する取り組みを始めました。経営改善や事業承継など総合的なサポートに力を入れます。 

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