文部科学省=東京・霞が関

教員の処遇などを議論している中央教育審議会(中教審)の特別部会が、残業代の代わりに公立学校教員の給与に上乗せしている「教職調整額」を月給の4%から10%以上とすることを柱とする提言の素案をまとめる方向であることが16日、分かった。19日の会合で取りまとめる。調整額は昭和46年制定の教員給与特別措置法(給特法)で定められたもので、実現すれば半世紀ぶりの引き上げとなる。

中教審の特別部会では昨年6月以降、教員の処遇改善や働き方改革、学校の運営体制などを議論してきた。提言の素案には調整額の引き上げのほか、ほぼ全ての教科を1人で担当する小学校教員の負担を軽減するため、教科担任制の拡大なども盛り込まれる。

教員の処遇改善策を巡っては、「定額働かせ放題」などと揶揄される調整額を廃止し、実際の労働時間に応じて残業代を支払うことも検討された。ただ、授業の準備や部活動の指導など勤務の線引きが難しく「校長が時間外勤務を職務命令として出すことは困難」との意見が大勢を占めたため、現在の枠組みは維持し額を上乗せする。

現行の4%は昭和41年時点の月約8時間の平均残業時間から算出された割合。令和4年時点の時間外在校時間(残業時間)は推計で小学校教員が月約41時間、中学校教員が月約58時間に増えており、現行の給特法では、勤務実態が反映されていなかった。

長時間労働の常態化は教員志望者減少の一因とされる。特別部会は昨年8月、授業時間数の削減など長時間労働是正に向けた緊急提言をまとめており、処遇改善策と合わせて教員確保に向けた総合的な方策を示す。

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