東京証券取引所

日本取引所グループ(JPX)は19日、東証株価指数(TOPIX)の新たな改革案を公表した。採用銘柄の時価総額の基準を一段と厳しくして、28年には1200銘柄ほどに絞り込む。小規模な銘柄が非常に多く、指数連動の投資信託を設定するのに手間や費用がかかるといった問題があり、見直しが必要と判断した。

TOPIXは東京証券取引所に上場する企業を対象として算出・公表する株式指数で、4月末時点で2146銘柄で構成されている。多数の投信がTOPIXに連動する形で運用されており、適用する資産は23年3月時点で88兆円にのぼる。

JPXは22年4月の市場再編に合わせて、TOPIXの算定方法を変えた。旧東証1部の全上場銘柄を組み込んでいたが、プライム上場基準でもある流通時価総額で100億円未満の企業を段階的に外す手法に切り替えた。22年10月から10段階に分けて構成比率を下げており、25年1月には約1700銘柄に減る。

19日に示した改革案では、時価総額100億円以上の上場企業を採用する方式を改めた。政策保有株など売買できない株式を除いた浮動株ベースで、東証の時価総額の96%を占める上位銘柄を採用して、残り4%に該当する銘柄を除外する。今回さらに条件が厳しくなることで、採用銘柄数は一段と減ることとなる。

現行のTOPIXの出発点は旧東証1部の上場銘柄になっており、ほとんどがプライム上場銘柄で成り立っている。新基準で対象が全市場に広がったことで、スタンダードとグロースからおよそ50銘柄が指数に加わる見込みだ。

銘柄の入れ替えは26年10月から段階的に実施する。除外対象の銘柄は8回に分けて構成比率を下げ28年7月に移行を完了する。28年10月に2回目の入れ替えを実行し、以降は1年ごとに採用・不採用を判定する。

構成銘柄を入れ替えた後でも株価指数としての特性やパフォーマンスは維持できるよう調整する。

最大の狙いは指数としての利便性を高めることだ。資産運用会社はTOPIX連動の投資信託を設定した場合、流動性の低い構成銘柄も継続的に売買する必要があり、取引を成立させるための手間やコストがかさむ要因になっていた。JPXは企業数の限定により、投信の運用費用がさがり、投資家が購入する際の手数料の低減につなげたい考えだ。

6月9日から2カ月ほどパブリックコメント(意見募集)にかけ、24年内に最終決定する。

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