4月会合で日銀は金融政策を現状維持とした(日銀本店)

日銀は19日、4月25〜26日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。3月会合で決めた政策の維持を判断したが、政策委員からは「政策金利の引き上げについて、タイミングや幅に関する議論を深めることが必要だ」など追加利上げを見据えた意見が相次いだ。円安や人手不足などによって「様々な物価の上振れリスクがある」といった指摘も上がった。

ある政策委員は「急激な政策変更を避けるため、(物価見通し実現の)確度が十分高まる前から、緩やかな利上げで緩和度合いを調整することが考えられる」と指摘した。その確度が高まるにつれ「適時適切に政策金利を引き上げることが必要」(別の委員)といった意見も出た。

政策委員が追加利上げに前向きな姿勢を示した背景には、物価の上振れリスクを認識していることがある。日銀は追加利上げを判断するうえで、賃金と物価の好循環が強まるかどうかの確認を重視している。

4月会合では複数の委員が、企業の賃金・価格設定行動が「従来見込み以上に積極化する可能性がある」との見解を示した。「企業が来年度の賃上げも見越して、想定以上に値上げを進める可能性もある」との指摘も複数の委員から出た。

円安について政策委員からは、基調的な物価上昇率の上振れにつながりうるとの見方が上がった。

ある委員は「円安・原油高が物価や賃金に波及するまでのタイムラグが短くなっている可能性がある」と指摘した。別の委員は企業の行動変化を受けて「円安を(物価に)転嫁する度合いは強まっている。物価や賃金への影響が一時的なものにとどまらない可能性もある」と述べた。

日銀は6月14日の決定会合で長期国債買い入れの減額方針を決めた。4月会合では資産買い入れの先行きや取り扱いに関して議論した。複数の委員が「どこかで削減の方向性を示すのが良い」との認識を示した。

3月に買い入れを停止した上場投資信託(ETF)の保有分については、一人の委員から「市場動向を踏まえると、取り扱いについて具体的な議論ができる環境になりつつある」との指摘が上がった。

【4月の決定会合】

  • ・日銀、追加利上げ見送り 国債買い入れ方針維持
  • ・日銀総裁会見要旨、国債買い入れ「変更はない」

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