クレジットカード向けやオフィス向けの融資で焦げ付きが発生=AP

【ニューヨーク=竹内弘文】米銀大手バンク・オブ・アメリカが16日発表した2024年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比18%減の66億7400万ドル(約1兆300億円)だった。利ざやが縮小したほか、クレジットカード向けやオフィス融資の焦げ付きによる与信費用の増加も響いた。

事業会社の売上高にあたる純営業収益は2%減の258億1800万ドルだった。貸し出しなどから得る利息収入と、預金者に払う利息の差「純金利収入」は140億3200万ドルと、前の四半期比では1%増を確保したものの、前年同期比では3%減だった。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面は終盤で、貸出金利よりも預金金利の引き上げ幅が大きかった。利ざやは1.99%と前年同期の2.20%から縮小した。

貸倒損失などの与信費用は前年同期比42%増の13億1900万ドルだった。クレジットカードを中心とする消費者向けローンで約10億ドル、オフィス向けローンで約3億ドルの貸倒損失が生じた。金利上昇で延滞や返済断念の事例が増えている。

一時的な費用も重荷となった。米連邦預金保険公社(FDIC)は米地銀シリコンバレーバンクなどの破綻時の預金保護にかかった費用を回収するため、前の四半期に続いて米銀各行に特別な負担金を課した。バンカメは24年1〜3月期に7億ドルを負担した。

一方、投資銀行部門やマーケット部門は好調だった。企業の資金調達意欲の回復により債券引受手数料は前年同期比37%増の8億8500万ドル、株式引受手数料は2.2倍の3億6300万ドルに急増した。

トレーディング収益(債務評価調整を除くベース)は株式トレーディングが伸び、2%増の51億7700万ドルだった。ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「第1四半期のトレーディング収益としては直近10年以上で最高だった」と述べた。

一時的要因を含めた1株利益は0.76ドルで、ファクトセット集計の市場予想並みとなった。16日の米株式市場でバンカメ株は売りが優勢で始まった。前日比4%程度下げる場面があった。

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