【北京=三塚聖平】中国国家統計局が16日発表した2024年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除く実質で前年同期比5・3%増だった。23年10~12月期の5・2%増から加速した。景気対策で伸びた投資に加え、堅調な工業生産や輸出が牽引し、中国政府の通年目標「5%前後」を上回る滑り出しとなった。一方で不動産不況は底が見えず、景気回復の重荷となる状況が続いている。
前期比では1・6%増で、23年10~12月期の1・2%増から加速した。
インフラ投資は6・5%増
同時に発表した1~3月累計の主要統計では、工業生産が前年同期比6・1%増だった。投資動向を示す固定資産投資は4・5%増で、23年通年の3・0%増から加速した。インフラ投資は6・5%増だった。
中国は昨年秋に1兆元(約21兆円)の国債の追加発行を決めており、その効果が出てきているもようだ。今年3月の全国人民代表大会(全人代)でも新たに超長期特別国債を毎年発行し、24年は1兆元にすると表明している。
不動産開発投資は9・5%減と低迷が続いた。当局の統制強化に端を発する不動産不況が長期化している。同日発表した3月の新築住宅価格指数によると、主要70都市の約8割に相当する57都市において前月比で価格が下落した。
消費動向を示す小売売上高は4・7%増で、23年通年の7・2%増から減速した。不動産不況や「ゼロコロナ」政策の後遺症を背景に庶民の雇用・所得環境は本格的には改善していないもようだ。
統計局の盛来運(せい・らいうん)副局長は16日の記者会見で「年間目標達成へ良い基礎を築いた」と自信を見せる一方で「外部環境の複雑さ、厳しさ、不確実性は増している」と警戒感も示した。
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