児童生徒や保護者の悩みを聞いて支援する東京都のスクールカウンセラー(SC)250人が2023年度末に「雇い止め」に遭った問題で、都内の自治体で働く公務員らでつくる労働組合「東京自治労連」の弁護団が12日、雇い止めの撤回などを求める意見書を都教育庁に提出した。都庁で会見を開いた弁護団は「雇い止めは看過できない問題」と訴えた。

◆「子どもたちの人権を考えていない」

 意見書では、信頼していたSCがいなくなることで児童生徒の充実した教育を受ける権利が侵害されたと指摘し、希望者を再び採用(任用)するよう求めた。契約を1年以内に区切る非正規公務員の人事制度で、経験が求められるSCを任用することに問題がないか検討が必要だと主張。雇い止めによる児童生徒らへの影響の把握も要望した。

東京都のスクールカウンセラーの雇い止めに関して「看過できない」と述べた東京自治労連弁護団の弁護士ら

 弁護団の笹山尚人弁護士は「一人一人に細かく配慮するのがSCの仕事。年度で(任用を)切るのは子どもたちの人権を考えていない」と述べた。  この問題を巡っては、2019年度以前から勤める都SCが2023年度末、都教育委員会の定める契約更新の上限に達した。24年度以降も働くには公募試験に合格する必要があるが、校長からの評価が高かったのに不合格となって雇い止めされる人が相次いだ。(畑間香織) 

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