経団連の十倉雅和会長(資料写真)

 経団連の十倉雅和会長は8日の会見で、小林製薬のサプリメントによる健康被害の拡大に絡み、経団連が機能性表示食品の制度解禁など規制緩和の要望を繰り返した事実を問われ、「最初から安全性を犠牲にしてビジネスを優先するという、大胆不敵な考えではなかったと思う」と釈明。そのうえで「人の健康に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったと思う」と反省を口にした。

◆規制緩和の要望繰り返し…安倍政権で実現

 機能性表示食品はアベノミクスの成長戦略の一環で2015年に導入された。国の審査が必要な特定保健用食品(トクホ)と異なり、安全性や有効性を事業者が届け出るだけで済む。経団連は09年ごろから規制緩和要望を繰り返した。  ビジネス優先で安全性が置き去りになったとの専門家の指摘について問われると、「経団連も昔そういう規制緩和を言ったから、けしからんじゃないかというおしかりですか」と逆に質問。ただ、しばらくして「新しいことを始めた時に問題が起これば、速やかに見直すべきだ。人の健康、人体に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったという声が起こってくるのは、その通りだと思う」と神妙に語った。

◆自民裏金は「一定のけじめ付けた」

 一方、自民党の裏金問題の処分については「一定のけじめをつけた」と肯定的に評価した。実態解明も進まず、線引きや軽重もあいまいな処分に党内外から疑問の声が出ているが、十倉会長は「関係議員の政治責任を問い、離党勧告をはじめとする厳しい処分を行ったと思う。これからガバナンス強化の中身を実のある議論にしていただくことを願う」と述べた。 (久原穏) 

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