金融経済懇談会に出席した日銀の中村豊明審議委員(6日、札幌市)

日銀の中村豊明審議委員は6日、マイナス金利解除後の金融政策について「現時点でのデータに基づくと、当面は現状の政策維持が妥当と考えている」と述べた。先行きの物価を巡っては、2025年度以降は消費低迷や値上げの沈静化で「(物価上昇率が)2%に届かない可能性があるとみている」と慎重姿勢を示した。

札幌市で開いた金融経済懇談会で講演した。

日銀は13〜14日に金融政策決定会合を控えている。中村氏は3月の決定会合でマイナス金利政策を含む異次元緩和を終えることに反対した。その後「中小企業の業績が向上する見通しであることも示された」ことなどから、現状維持が妥当との考えになったと説明した。

日本経済を「2%の物価安定目標や持続的な経済成長を達成する千載一遇のチャンスをつかみかけており、重要な転換点にさしかかっている」と評価した。春季労使交渉では大企業が高い賃上げ率を主導し、「中小・中堅企業にとっても賃上げ分を価格転嫁するハードルが下がり始めている」と話した。

2%目標の持続的・安定的な達成のためには「経済の力強い回復への期待を確信に変える経済構造の変化が必要」と強調した。中村氏は今後確認していくポイントとして「中小・中堅企業の価格転嫁努力の浸透状況や『賃上げ余力』の向上状況、設備投資や人財投資」などに言及した。

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