記者会見した日銀札幌支店の岡本宜樹支店長(29日、札幌市)

日銀札幌支店は29日発表した5月の金融経済概況で、北海道の景気を「一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している」として、判断を引き下げた。下方修正は2022年2月以来2年3カ月ぶり。道内景気をけん引してきた個人消費で判断を引き下げた。

需要項目別では個人消費の判断をこれまでの「物価上昇の影響を受けつつも、着実に増加している」から「物価上昇の影響を受けつつも、堅調に推移している」に変えた。スーパーマーケットでは特売品の販売増加や消費者のディスカウント業態へのシフトがみられた。

日銀札幌支店の岡本宜樹支店長は「日用品において生活防衛意識が目立つ。物価高による実質所得低下の影響が累積してきた」と説明した。コンビニエンスストアでも値上げによる売り上げ点数の落ち込みが目立ったといい、新型コロナウイルス感染症5類移行後の人流回復による消費押し上げ効果も一巡したとみる。

今後について岡本支店長は「個人消費(の鈍化)は一時的なものか、潮目が変わり減速感が拡大するかは見極めがたい」と述べた。「賃上げによる給与所得の改善が実現する」との期待も示した。

日銀旭川事務所も、北海道北部の景気判断について「一部に弱めの動きがみられるが、持ち直している」と、2年3カ月ぶりに引き下げた。天候不順の影響で大型小売店で春物衣料の販売が伸び悩んだ。

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