築年数の長いマンション、団地向けに省エネ改修の設計・監理・コンサルタントを担う「A&Cサポート」(多摩市)。1級建築士の金子勲社長(55)は住宅を快適にするため外断熱の活用を勧める。室内温度が安定して光熱費を軽減でき、環境負荷も抑えられるという。(服部利崇)

◆メインは集合住宅 建物寿命も延びる

 同社の事務所は、外断熱仕様のマンション内にある。この時季、外の気温が10~25度と幅があっても「室内温度は約20度に維持できる」。

外断熱の利点について語る「A&Cサポート」社長の金子勲さん=東京都多摩市で

 外断熱は、構造体の外側に断熱材を入れる工法。建物保護、壁のヒビ防止にも有効で「建物寿命が延びる」とも。内断熱が主流の日本で、ハウスメーカーで働いた約30年前から外断熱に取り組む。約5年前から「一気に環境性能の高い住宅を増やせる」などとして集合住宅をメインに。2022年に個人事業主から会社へ切り替えた。  「高額な省エネ工事を単独で実施するのは難しい」。大規模修繕と同時に施工、国や自治体の補助金を活用してコストダウンを図る。これまで10件超の集合住宅改修に携わった。多摩市内の築約40年の14棟293戸では、国と市の計約4億4千万円の補助金を活用し、外断熱やサッシ、玄関ドア改修などを実施。大規模修繕を含めた総工費約15億円の約30%を補助金で賄った。  円安進行などで人件費や材料費が高騰。「外断熱を検討しながら断念する例が増えている」。また金銭面から合意形成が難しいこと、外断熱工法に習熟した業者が多くないなど普及へ課題は多いが、「新築の建物は二酸化炭素も出す。コンクリートは長持ち。省エネ改修で使い続けて脱炭素につなげたい」と力を込めた。 

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