能登半島地震で被災した石川県の伝統芸能、「御陣乗太鼓」が女川町で披露されました。同じ被災地を応援しようと開かれた演奏会。復興への願いを込めて力強い音が響き渡りました。

こわもての面をかぶり、激しく打ち鳴らす太鼓。石川県の伝統芸能、「御陣乗太鼓」です。

御陣乗太鼓保存会 槌谷博之さん
「3.11の後も、私たちも復興のためにこちらに来て太鼓を叩いた縁もあるので、こちらの方から力をもらって思い切り太鼓を叩きたい。」

御陣乗太鼓が生まれたのは、能登半島にある輪島市名舟町。今年1月に起きた大地震で、甚大な被害を受けました。
道具を保管していた集会所も大きな被害に。しかし、太鼓やお面は難を逃れました。住民たちは、集団での避難生活を余儀なくされ、道具も別の場所に保管することに。
伝統を絶やすまいと、バラバラになっていた仲間たちが定期的に集まり、練習を続けてきました。

女川町で開かれた演奏会は、同じ震災の被害にあった被災地どうし、支え合おうという思いで企画されました。
県内の太鼓奏者の中には、東日本大震災後、石川県に招待され、演奏を披露した人もいました。13年ぶりの再会です。

女川潮騒太鼓轟会会長 斉藤成子さん
「物資などを送るぐらいしかできなかったので、今回(名舟町の皆さんと)ご一緒できて心からうれしい。」

本番前の控室。魂をこめて、臨みます。

御陣乗太鼓保存会 槌谷博之さん
「直前になると神経集中して、あまり直前話すことはない。」

お面をかぶり、いよいよ演奏が始まります。

御陣乗太鼓は、約450年前に村人が夜叉や亡霊の面をつけて太鼓を鳴らし、上杉謙信を追い払った伝説に由来。

演奏を聞いた人
「最高でした。1度見たいと思っていて、叶ってとてもうれしい。」
「最高。お腹にどーんと響いた。」

御陣乗太鼓保存会 槌谷博之さん
「女川の人たちも震災当時は笑顔もなかったでしょうが、皆笑って見てくれていたので、能登半島地震の被災者の私たちも笑顔を絶やさないような、そういう生活に戻れるといいと思った。」

太鼓を通して生まれた被災地同士の新たな絆。復興を願う勇壮な音が響き渡りました。

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