「ワタシタチハニンゲンダ!」の上映会後、講演する高賛侑監督=高知市で2024年4月27日午後3時14分、小林理撮影

 日本社会における外国人差別の歴史と現状を記録したドキュメンタリー映画「ワタシタチハニンゲンダ!」(114分)の上映会が4月27日、高知市であった。約30人が鑑賞し、衝撃的な映像を通して外国人差別の問題について考えた。

 高知大のサークル「橋人(はしんちゅ)」の主催。映画は、技能実習生制度や出入国在留管理庁(入管)などを巡る在日外国人差別の現状に迫り、2023年2月に地域や庶民に密着した作品を対象にした「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」で大賞を受賞した。戦前の朝鮮半島の植民地支配や、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除、幼児教育・保育の無償化制度からの外国人学校の締め出しなど、戦後の在日コリアン政策などを巡る差別的な行為を列挙。そうした流れが在日外国人を「管理」する現在の入管体制に引き継がれたと指摘する。

 入管体制の問題を巡っては、21年に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんら、入管施設内で病気を発症したにもかかわらず放置されたり、暴言や暴力にさらされたりしたケースについて、支援者らが証言する。収容者自らが「人権を奪われた状態だった」とカメラの前で告発するほか、入管施設内で体調不良を放置されて死亡した男性を映した監視カメラ映像なども入手して盛り込んだ。証言者らが「私たちは人間です」と訴えるシーンがとりわけ印象的だ。

 上映会後、映画を手掛けた在日コリアン2世の高賛侑(コウチャニュウ)監督(76)が講演。「国が率先して外国人差別を生み出して実行し、司法がそれを追認する。そんなゆがんだ状況を覆すために映画を作った。ショックを受けたなら、ぜひあなたができることに取り組んでほしい」と語りかけた。高氏は、映画を国会議員に見てもらったり海外に広めたりする活動を続けるほか、有志による自主上映会の開催も呼びかけている。

 橋人のメンバーで高知大4年の荒川水紀さん(21)は「多くの日本人は自分の国が外国人を抑圧していることを知らず、関心すら持っていない。映画を見て無意識の差別に気づき、世界を見る目を変えてほしい」と話した。【小林理】

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