フジコ・ヘミングさんに憧れ「ラ・カンパネラ」を習得した徳永義昭さん=札幌市南区で2023年6月22日、石川淳一撮影

 「魂のピアニスト」と呼ばれたフジコ・ヘミングさんの死去を受け、その演奏に感銘を受けて独学でリストの難曲「ラ・カンパネラ」を習得した佐賀市川副町のノリ漁師、徳永義昭さん(63)は2日、「最初はびっくりしたが、じわじわと悲しみが湧いてきて、今は暗い気持ちです」と言葉を詰まらせた。

 徳永さんは2日朝、全国のピアノ仲間からの連絡でヘミングさんが亡くなったことを知ったという。「腰が悪くて車いす生活だとは聞いていたが、病気のことは知らなかった」と語った。

 徳永さんは52歳の時、テレビでヘミングさんが演奏する「ラ・カンパネラ」に衝撃を受け、挑戦を決意。猛練習の末に弾きこなせるようになり「奇跡のピアニスト」と呼ばれている。

 後にヘミングさんのコンサートに出演するなど交流し、徳永さんの歩みは現在製作中の映画「ら・かんぱねら」の題材にもなった。

 徳永さんは「コンサートの前座を3回務めさせてもらった。4回目、5回目もあると信じていただけに、会えなくなるのは悲しい。映画化の話も来たりして、フジコさんのお陰で今の自分がある。人生を変えてくれた人で本当に感謝している」と話した。

 そして最後に「私が言うのもおこがましいが、フジコさんの魂を受け継いでいきたい」と悼んだ。

 映画「ら・かんぱねら」は佐賀を舞台に約1カ月間撮影が行われ、4月中旬にクランクアップした。今年の秋ごろに県内で先行上映した後、全国公開される予定。【斎藤毅】

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