世界的画家の展覧会で、画家本人が、展示されている作品を贋(がん)作(さく)だと見破る。本人もひそかに自身の作品より優れていると認めるが、贋作だと分かるとすぐに展示から外されてしまう。どんなに優れた作品でも「偽物」は価値がないと判断される。美の価値とは何なのかを問われた気がした。

 不遇の贋作者、主人公を演じるのは本木雅弘。思いの外、出演時間は短いが、美の完成に執念をささげる、男性でもゾクッとするような色気のある演技を見せる。そういえば、映画「羊たちの沈黙」で米アカデミー賞主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンスも出演時間はわずか12分だった。名優にとって、強烈な印象を与えるのに出演時間の長短など関係ないのかもしれない。

 その名優の素晴らしい演技を成立させたのはテレビドラマ「北の国から」などで知られる脚本家の倉本聰氏。倉本氏が「最後の作品」と語る作品をぜひ劇場で。(DX推進部・屋良朝輝)

◇シネマQで上映中

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。