帝塚山大(奈良市)と大阪電気通信大(大阪府寝屋川市)の学生が、江戸時代前期に作られたとされる当麻寺護念院(奈良県葛城市)所蔵の木造法如化生坐像(ほうにょけしょうざぞう)・中将姫の「お身代わり像」を3Dプリンターで制作し、4日に護念院で贈呈式があった。【松田学】
中将姫は、当麻寺に伝わる「当麻曼陀羅(まんだら)」を織り上げたとされる伝説上の人物。命日とされる4月14日には伝統行事・練供養会式(国指定重要無形民俗文化財)が毎年行われ、中将姫が観音菩薩らに導かれて極楽浄土に向かう様子が再現される。
帝塚山大は護念院と連携し、当麻寺の魅力を発信していくプロジェクトを2023年10月にスタートした。練供養会式の宣伝ポスターを作製したり、会式当日に観光案内所を開設して見どころを紹介したりしてきた。プロジェクトを進める中で、護念院が「中将姫を寺外でも活用したい」と考えていることを知り、学術連携協定を結ぶ大阪電気通信大に3Dプリンターでのレプリカ作りを持ち掛けた。
両大学の学生4人が24年1月に制作を始めた。像を六つのパーツに分けて計測したスキャンデータを3Dプリンターで印刷し仕上げた。本体と金蓮台はABS樹脂で、花托(かたく)や宝飾、頭囲などはステンレスで作った。実際の中将姫を参考に色も付けた。
完成したお身代わり像は高さ24・5センチ、縦12・7センチ、横15センチと実物と同じサイズだが、蓮台の金箔色を再現するなどし、見た目は新しい印象を受ける。
贈呈式では、葛城市歴史博物館で開催中の「第25回特別展-当麻寺練供養-会式を彩るもの」に展示されていた実物が護念院に戻り、お身代わり像と「対面」した。
護念院の葛本雅崇(がそう)住職は「忠実に再現されていて驚いた。寺外でのイベントで展示するほか、練供養会式で中将姫をささげ持つ観音菩薩の所作の練習にも活用できそう」と話した。着彩作業を担当した帝塚山大3年の代田萌華さん(20)は「実物に近い色を付けられた」と出来栄えに満足していた。
特別展は12月8日まで開かれており、今月6日以降は実物に代わってお身代わり像が展示される。
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