ボブアートワークさん=広島市西区のアトリエで2024年10月10日午後3時33分、中村清雅撮影

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 キャンバスの中で、挑発的な表情でこちらを見つめる人物画は、1本の連続した線で描かれている。「一筆書き」のアーティストとして、斬新な作品を次々と発表し、注目を集める。

 一筆書きの作品を発表し始めたのは、フリーランスの商業デザイナーとして活動していた2018年ごろ。当初は自身のインスタグラムに投稿するだけだったが、飲食店経営の知人から「店に飾りたい」といった注文が入るようになった。SNSと口コミで徐々に評価が広がり、今は広島市にアトリエを構え、一筆書きの作品制作が仕事の中心になった。各地で個展を開催し、作品をプリントしたTシャツなどをインターネットで販売する。「こんな展開は予想していなかった」と振り返る。

 呉市出身。幼稚園の頃から絵を描くことが好きで、「ゲゲゲの鬼太郎の妖怪なんかを描くのが楽しかった」。広島市の穴吹デザイン専門学校に進学してグラフィックデザインを学び、卒業後はとび職などを経て、デザイン会社に就職。約6年のサラリーマン時代は、プロ野球のグッズデザインや、スーパーの折り込みチラシの製作などを担当した。チラシ製作は特にきつく、次から次に入る掲載品や値段の修正に対応し続けるうちにじんましんができ、夢でもうなされたが、「デザイナーとしての幅を広げることができた」という。

ボブアートワークさんの作品がプリントされた洋服=広島市西区のアトリエで2024年10月10日午後3時38分、中村清雅撮影

 30代半ばで独立。商業デザインの仕事を続けるうちに、「仕事とは関係ない、自分の作品を世の中に残したい」という思いが芽生え始めた。「知らない人を普通のタッチで描いても、なかなか理解してもらえないだろう」と考え、マリリン・モンローなど誰でも知っている人物を一筆書きしてみることにした。試しにボールペンで描いてみると、「ぱっと見て特徴的な、分かりやすい作品ができた。これだと思った」。

 今は外国人の人物画を中心に制作している。「絵のテーマや世界観がかっこいい」といったファンの声が何よりの原動力だという。「応援してくれる人が買って良かったと思える作品をどんどん作っていきたい」と意気込む。【中村清雅】

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