大勢の観客が見守る中で披露された神事=山口県下関市彦島迫町で2024年10月20日午後3時40分、橋本勝利撮影

 山口県下関市彦島迫町の彦島八幡宮(柴田宜夫宮司)で秋季例大祭が開かれ、市指定の無形民俗文化財「サイ上(あが)り神事」があった。大勢の観光客が見守る中、武者役の2人が交代で舞を披露し、最後にやりを掲げて「さあ上がった」と威勢良く声を張り上げた。

 神事は865年の伝統を継承するもので、例大祭は20日に開かれた。保元の乱(1156年)に敗れ、彦島に流れ着いた伊予(愛媛)の武将、河野通次(みちつぐ)が、彦島沖で弓矢の神とされる八幡尊像が描かれたご神体の鏡を引き上げた故事に由来する。通次が鏡を引き上げる際に「さあ上がらせ給(たま)う」と言った言葉が「サイ上り」になまったとされる。

 神事では、盛り砂に立てたサカキの周りをトビウオに見立てた児童たちが飛びはねる舞を披露。鎧兜(よろいかぶと)姿の武者役2人が鏡を引き揚げる動きを繰り返した。最後にやりが天に掲げられると観客から大きな拍手が上がった。

 トビウオ役の市立西山小6年、久保龍生さん(12)は「楽しかったけど、想像より大変。一生懸命練習してよかった」と大役を終えて笑顔。結婚を機にイスラエルから移住してきた主婦の小林リカさん(37)は「おみこしやサムライさん、すごい迫力だった。ますます魅力にとりつかれた」と、興奮気味にスマートフォンで神事の様子を撮影していた。【橋本勝利】

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