前衛的な「アンダーグラウンド」の演劇に軸足を置き、5月に84歳でこの世を去った劇作家、唐十郎さんの追悼公演が、東京都港区赤坂5の赤坂サカス広場内特設紫テントで行われている。「アングラ第2世代」の演出家、俳優の金守珍(キム・スジン)さん(69)率いる劇団「新宿梁山泊」が、唐さんの代表作の一つ「ジャガーの眼」を上演。「唐さんは芝居を通じて人間とは何か、自分は何者かという問いかけを続けた」と金さんは話す。
「ジャガーの眼」は臓器移植から着想を得た物語。探偵の田口が、くるみという名の女性から、亡き恋人の肉体の一部である「眼球を探してほしい」と依頼を受け、ストーリーが展開する。
唐さんが有志と旗揚げした劇団「状況劇場」時代の1985年に初演された。その2年前に亡くなった歌人、劇作家の寺山修司さんへの追悼の意を込めた作品だ。寺山さんは厚底のサンダルをよくはいていたことから、田口が営む探偵事務所の名はサンダル探偵社。今回は、唐さんの長男で俳優の大鶴義丹さん(56)が田口を演じている。
「寺山さんは唐さんの盟友で命日は2人とも5月4日なんですよ」と金さんはしみじみと語り、「いまの若い世代にアングラの世界にひたってもらえれば」と言う。
23日まで。詳細は新宿梁山泊のホームページ。【明珍美紀】
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