手揉み製茶の様子=文化庁提供

 文化審議会は18日、草花を伝統的な技法で生ける「華道」と、手作業で茶を作り上げる「手揉(ても)み製茶」を登録無形文化財にするよう文部科学相に答申した。万福寺(京都府宇治市)の大雄宝殿(だいおうほうでん)など3棟を国宝に、総持寺祖院(そうじじそいん)(石川県輪島市)など6件の建造物を重要文化財に指定することも求めた。

 華道は室町時代以降、多様な生け花の技法を生み出し、人々の生活に浸透。各流派では伝統的様式を繰り返し稽古(けいこ)し精神性を追究、美意識の継承を図っており、芸術的価値が高いと判断した。

 手揉み製茶は煎茶や玉露などを作る伝統的技法。助炭(じょたん)と呼ばれる製茶道具を用い、多様な手使いで茶葉に圧力を加えて水分を排出、針のような細長い形状などに整える。生活文化史上の意義があると評価した。

 技術継承に取り組む保持団体にはそれぞれ「日本いけばな伝統文化協会」(大阪市)と「手もみ製茶技術保存会」(静岡市)を認定する。

花を生ける様子=文化庁提供

 万福寺は17世紀半ばに中国から伝わった禅宗「黄檗宗(おうばくしゅう)」大本山で、中国仏教と既存寺院の建築手法を折衷した独特な様式が特徴。総持寺祖院は、明治時代の大火後に横浜に移転した曹洞宗大本山総持寺の別院として再興。1月の能登半島地震では仏殿などが被災した。

 重要文化財の指定はほかに、高野山真言宗総本山金剛峯寺(こんごうぶじ)金堂と根本大塔(和歌山県高野町)や瀬戸内海歴史民俗資料館(高松市)など。

 答申通り告示される見通しで、登録無形文化財は6件、建造物の重要文化財は2589件(うち国宝232件)となる。(共同)

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 文化審議会の答申内容は次の通り。かっこ内は所在地。

 【登録無形文化財の登録と保持団体の認定】華道=日本いけばな伝統文化協会(大阪市)▽手揉み製茶=手もみ製茶技術保存会(静岡市)

 【国宝の新指定】万福寺大雄宝殿など3棟(京都府宇治市)

 【重要文化財の新指定】総持寺祖院大祖堂など16棟(石川県輪島市)▽旧村井家別邸(京都市)▽金剛峯寺御影堂など9棟(和歌山県高野町)▽金剛峯寺金堂と根本大塔(同)▽瀬戸内海歴史民俗資料館(高松市)▽鞍埼灯台(宮崎県日南市)

 【重要文化財の追加指定】妙義神社随神門など4棟1基(群馬県富岡市)

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