埼玉県行田市の埼玉(さきたま)古墳群にある県立さきたま史跡の博物館で5日、企画展「古墳時代の装い―おしゃれな古代人―」が始まった。県内や近県の古墳から出土した男女の人物埴輪(はにわ)や実際に身につけていた装身具など約80点を展示している。ファッションやおしゃれをテーマにした企画展は珍しい。12月1日まで。
同展によると、古墳時代(3世紀中頃~7世紀)の中期から作られるようになった人物埴輪には髪型や衣服、装身具などが表現され、絵画や文字資料のほとんどない古墳時代の装いを知るための有力な手がかりとなる。
男性の髪型は美豆良(みずら)が多い。両耳の近くに髪を折り返して束ねた「上げ美豆良」と、髪を3分し、うち二つは両耳の下で縛って残りの一つは縛らないで後ろに垂らした「下げ美豆良」があった。
男子埴輪の大半は何らかのかぶりものをしている。鴻巣市の新屋敷遺跡から出土した「冠を被(かぶ)る男子(県教委所蔵)」は下げ美豆良を結い、冠をしている。
一方、女子の髪型は頭頂部に方形の粘土板を乗せた表現が目立つ。長い髪を頭頂部で一度結び、前後に折り返して中央をひもでまとめていて、江戸時代の島田髷(まげ)に似ていることから「古墳島田」と呼ばれている。
人物埴輪には耳飾りや首飾りが多い。行田市瓦塚古墳出土の「耳飾りをつける女子」は耳の下に大きな環状の金属製耳飾り「耳環(じかん)」が表現されている。
各地の遺跡から出土した耳環や指輪も展示されている。同館の中井歩学芸員は「親しみやすいテーマを足がかりにして、古墳時代や考古学に親しんでほしい」と話している。
企画展は月曜休館(10月14日と11月4日は開館)。一般200円、高校・大学生100円、中学生以下無料。問い合わせはさきたま史跡の博物館(048・559・1181)。【中山信】
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