公正取引委員会は24日、音楽・放送業界の契約や移籍を巡るトラブルについて、実態調査を始めたと発表した。同業界に特化したこうした調査は初の試み。藤本哲也事務総長は同日の記者会見で「実演家(アーティストなど)が芸能事務所から独立する例が多数あり、活躍できる場所が確保されているか確かめたい」と述べた。専用フォームで情報を募り、指針の作成などに活用するほか、悪質なケースは独占禁止法に基づく事件化を検討するとしている。
トラブルってどんなもの?
公取委によると、アーティストや俳優、タレントなどが主な調査対象。トラブルの内容は、所属事務所による移籍や独立の妨害▽移籍後にそれまでの芸名の使用を制限▽一方的に契約を更新――などを想定している。独禁法違反について調べたうえで報告を取りまとめ、違反になり得る行為を示す指針も作成する。映画やアニメの制作現場を対象とする実態調査も予定している。
フリーランスで働く人の労働環境改善を話し合った公取委の有識者検討会が2018年に公表した報告書は、芸能事務所が一方的に契約更新できる規定などを、独禁法の「優越的地位の乱用」に抵触する恐れがあると指摘していた。公取委は芸能界への監視を強め、人気アイドルグループ「SMAP」の元メンバーを出演させないようテレビ局に圧力をかけた疑いで、旧ジャニーズ事務所を調査。19年に独禁法違反の恐れがあったとして注意した。
音楽・放送業界の実態調査に関する情報提供は専用フォーム(https://www.jftc.go.jp/soudan/jyohoteikyo/geinou.html)で受け付ける。【渡辺暢】
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