記念品のシマフクロウの木彫りを手にする福間香奈女流王位=大阪市福島区の関西将棋会館で2024年10月1日午後5時24分、新土居仁昌撮影

 将棋の第35期女流王位戦五番勝負(新聞三社連合主催)で挑戦者の加藤桃子女流四段(29)を降し、6連覇、通算10期を達成した福間香奈女流王位(32)の就位式が1日、大阪市福島区の関西将棋会館で開かれた。現在妊娠8カ月で12月に出産予定の福間女流王位の体調を考慮し、東京で開催予定だったのを居住地の大阪に変更した。

 女流5冠を持ち、獲得タイトル通算59期の福間女流王位だが、大阪での就位式は初めて。関西将棋会館は11月に大阪府高槻市の新会館に移転するが、思い出が詰まった現会館での開催に「自分が勉強してきた場所で就位式ができたのはすごく幸せ」と感慨無量の表情だった。

 五番勝負は4~5月に行われ、福間女流王位が3連勝のストレート勝ちで防衛した。就位式では脇謙二・日本将棋連盟専務理事と日本女子プロ将棋協会の鹿野圭生女流三段からそれぞれ就位状が授与され、アイヌ工芸作家、貝澤徹さん制作の「飛躍」と名付けたシマフクロウの木彫りが記念品として贈られた。

 謝辞に立った福間女流王位は関係者の配慮に感謝し、「無事に出産を終え、最高の状態で(来年の)タイトル戦を迎えられるよう全力を尽くしたい」と述べた。

 就位式終了後、福間女流王位は報道陣の取材に応じた。関西将棋会館は3階に棋士や奨励会員らが練習将棋をする部屋があり、4階と5階が対局室のフロアになっている。福間女流王位は「3階は自分が勉強してきた場所で、上に上がるごとに神聖な場所という感じ。フロアによって別の場所にいるような感じでした」と語った。

 就位式で祝辞を述べた畠山鎮八段は恩師。「(出身地の島根県出雲市から)大阪に出て来てすぐ、畠山先生に将棋を教えてくださいと、ダメ元でお願いしたら、その場で日程を調整してくれてびっくりした」と明かし、「本当にやさしい先生で、畠山先生に将棋を教えていただいたからこそ、今の自分があるのかなと思ってます」と感謝の気持ちを表した。

 現在、女流棋戦の最高峰の白玲戦七番勝負を戦っている西山朋佳白玲が棋士編入試験に挑戦していることに関連し、2年前に不合格になった棋士編入試験に再チャレンジする気持ちがあるかと問われると、「棋士編入試験に限らず、自分が将棋をする上でプラスになることであれば何でもやっていきたいという気持ちは強い。(その時の)状況によって、挑戦できるかどうかは別のものがあると思うが、常に挑戦していきたいという気持ちはあります」と意欲をにじませた。

 その白玲戦は3局を終わって2勝1敗とリード。「体調を第一に考え、勉強はできる限りして挑むという感じでやっています」と話し、「対局中もポコポコ、おなかを蹴られることもあります」と母になる実感も大きくなっているようだった。【新土居仁昌】

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