撮影 Yusuke Miyazaki

<大人の女性こそ、おしゃれして出かける機会をどんどんつくろう。冨永愛が今こそ伝えたい、大人の生き方について>

自分にとって本当に大事なものが見えはじめた30代。そしてその先に、40代のいまがある...。冨永愛が伝えたい、「自分で自分を幸せにする方法」とは? 『冨永 愛 新・幸福論 生きたいように生きる』(主婦の友社)の第5章「有限の美しさを重ねる」より一部抜粋。

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年齢を重ねて「何を着ればいいのか、わからない」

このまえ高校生の女の子に「自分の好きな服と、似合う服が違うんです」と相談を受けた。

わかる。そうだよね。めっちゃかわいい! と思う服でも、いざ着てみるとなんか違う。私は中学生のときに身長175センチもあったから、女の子っぽい服が似合わないと思っていたし、そもそもサイズがなかった。いつも男子みたいなかっこうばかりで、ちょっと絶望していた。

そんな私だから言わせてほしい。若いうちは、自分の好きなものを着なさい! とにかく着てみなくちゃ、自分が似合うものに気づくこともできないから。

大事なのは「この服、着てみたいな」というワクワクした気持ち。ファッションが楽しいと思えるトキメキ。で、着てみて「なんだか似合わない」と思ったら、なぜ似合わないのか考える。丈かな? サイズかな? 色かな? いや、この茶髪がいけないんじゃない? などなど。

そうやって鏡の前であれこれ悩んで、次はこういうのを着てみようと考え始めるのが、おしゃれの入り口。だからどうぞ、楽しんで洋服をたくさん着てみてください。

と思ったら、今度は50代の女性に「何を着ていいのかわからない」と相談された。ずっと子育てで忙しくて、ようやく子どもが独立して自分にお金がかけられるようになったそうなのだが、「久しぶりにおしゃれを楽しもうと思ったのに、自分に似合う服が見つからないんです」と言うのだ。

「昔好きだったシンプルな服を着ても、なんだかヤボったく見えるし、流行の服はしっくりこないしサイズも合わない。でも、デパートの上の階のミセス服には抵抗があるんです」とのこと。

これには驚いた。50代といえば、バブルど真ん中世代。おしゃれを堪能した世代なのになぁ。この世代がおしゃれに見える素敵で買いやすい服、作ってくださいよ。どこかのブランドさん!(もうあるのかもしれないけど)。

この話を聞いて、改めて思った。おしゃれって、随時アップデートが必要なものなのだ。流行に合わせて、自分の体型や容貌の変化に合わせて、「好きな服」を見直しながらいっしょに歩いていく存在。それを一時的にでもやめてしまうから、「私に似合う服がわからない」ということになってしまうのだろう。

大人の女性こそ、おしゃれして出かける機会をどんどんつくろう

でも、なんでそんなことになるんだろう? 40代の編集者さんに聞いてみた。そしたら、「ずっと同じ会社に通っていると、『別にこの服でもいいか』っていう感じになっちゃうんですよ。会社で同僚に会うだけなら、おしゃれしようとは思いません」と言われてしまった。

ええ? それってつきあって3年過ぎた彼とのデートみたい。そうか、そういうことか。確かに会社に行くだけだったらおしゃれなんてする気になれない。同僚の男性だって、スーツをぐるぐる着まわしているだけだしね。

年齢を重ねた女性たちは、おしゃれをして出かける機会がそもそも減ってしまうのだ。だから「会社に着て行く服」「保護者会に着て行く服」など目的別の実用重視になってしまって、おしゃれを楽しめないのではないか。これは、私の仮説だけれど。

だったら、出かけよう。夫や、恋人や、ボーイフレンドと、ときめく外出を増やそう。欧米だと、おしゃれなバーには素敵な大人の男女がいる。日本は若いカップルか、仕事帰りの男性しかいない。残念だ。

女友だちとのお出かけだってもちろんいい。歌舞伎やミュージカルにうんとおしゃれして行くのも楽しいと思う。デートでなくても、特別なイベントがなくても、おしゃれして出かければ胸はときめく。

私はときどき「今日はデートですか?」と事務所の人に聞かれることがあるのだけれど、単に朝の気分で「なんかおしゃれしたい」と思っただけのときもある。事務所に来て、家に帰るだけでも、おしゃれしたいときにはおしゃれするのだ。でないと、おしゃれのしかたを忘れてしまいそうになるから。

デートするときには、何を着るかをものすごく考える。自分が素敵に見える服を選ぶのではなく、二人並んだときにいい感じに見える服を探す。「彼は黒のコートを着てくるだろうから、私も黒でいく?」とか「きっと今日はきれいめの服だと思うから、私もそれに合わせよう」というように。

事前に「今日は何着てくるの?」とは聞かない。聞かないで考えるのが好き。実際に会ったときに、「やっぱりね」と思えるとうれしいから。相手も同じように考えて、私をイメージして着てきてくれることもあるので、そんなときは2倍うれしい。

洋服は人の心にものすごく大きな影響を与える存在だと思う。セクシーな服を着れば、セクシーな気持ちになるし、表情にも表れる。和服を着れば、自然と落ち着いたしぐさになる。パリッとしたスーツを着れば、自然と背すじが伸びて表情もキリリとする。鮮やかな色の服を着れば、なんだか元気になれる気がする。

洋服で気持ちも行動も変えられる。洋服の力を借りて、いまよりもっときれいになろうよ。

冨永 愛(とみなが・あい)
15歳で雑誌モデルとしてのキャリアをスタート。17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題となる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルのほか、テレビ、ラジオ、イベント、俳優など様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。著書に『冨永愛 美の法則』『冨永愛 美をつくる食事』(ともにダイヤモンド社)ほか。

  『冨永 愛 新・幸福論 生きたいように生きる』
  冨永愛[著]
  主婦の友社[刊]

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