東京・池袋の舞台芸術学院=2024年9月7日午後0時6分、広瀬登撮影

 70年以上の歴史を誇り、数多くの著名な俳優や演出家を輩出した専門学校「舞台芸術学院」(東京・池袋)が2026年3月に閉校することが決まった。同校が7日発表した。少子化で生徒数が減少傾向にある中、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで入学者が激減し、今後の継続的な学校運営は困難と判断した。

 「舞芸(ぶげい)」の愛称で親しまれる同校は1948年創立。演劇はもとより映画、放送の幅広い分野で活躍できる専門性と社会性を持ったアーティストの養成を教育方針に掲げる。本格的な稽古(けいこ)場を備え、2年間の在学中に、ボイストレーニングやダンスといった基礎訓練から演劇の上演実習、理論まで学ぶ。

 これまでの卒業生は1万人超。同校によると、俳優の渡辺えりさん、市村正親さん、役所広司さん、映画監督の山田洋次さん、劇作家の蓬莱(ほうらい)竜太さん、現学長で劇団「文学座」演出家の鵜山仁さん、小説家の五木寛之さんらも通った。

 生徒数のピークは80年代後半から90年代前半。昼夜両部を合わせて約200人に上った。しかし少子化に加え、特に20年に始まったコロナ禍で、身体的な接触が避けられない演劇を志望する若者が減少し、現在の生徒数は約30人にまで落ち込んでいる。

 同校は「今後も募集を続けた場合、これまで通りの授業を行えなくなる可能性がある」と危惧。その上で「数多くの卒業生が文化芸術の振興に寄与し、戦後の焼け跡から始まった未来につながる文化的な役割を果たした」として、新たな入学希望者を募らず、現在の1年生が卒業するタイミングで教育活動を終了することに決めた。

 閉校により空いた校舎には、劇団「青年座」が老朽化した東京・富ケ谷の現拠点から移転する予定。【広瀬登】

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