2024年の第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にノミネートされるなど数々の国際映画祭で話題となっている映画『ぼくのお日さま』。9月13日の全国公開を控え、撮影・脚本・編集も手掛けた奥山大史監督が、舞台となった北海道の札幌市を訪問。8月28日と29日の2日間にわたって、映画の先行上映会と市民や学生を対象とした映像セミナーが開かれました。

 映画は、吃音を持った少年とフィギュアスケート選手の夢を諦めた男性コーチ、コーチに想いを寄せるスケート少女3人の恋を描いた物語です。赤井川村、小樽市、石狩市など、撮影の大半は2023年冬に北海道で行われ、UHBがロケーションコーディネートなどで制作協力しました。

 8月28日に札幌市中央区のTOHOシネマズ すすきので開かれた凱旋上映会は、9月の全国公開を前にいち早く作品を見たいと詰めかけた多くの道民でにぎわいました。

 上映後の奥山監督の舞台挨拶では、観客からの質問に監督が答える場面も。奥山監督は、作品の中では明かされていない物語の時代設定や、撮影の舞台裏などを披露しました。

 8月29日は、奥山監督が映画『ぼくのお日さま』の制作秘話や撮影演出論などを語るセミナーが札幌産業振興センターで行われました。ロケーションコーディネートを担当したUHBによる司会進行のもと3部に渡って無料で開催され、約100人が受講しました。

 「映画制作の裏側、北海道ロケーションの魅力」がテーマだった1部では、撮影地となった道内各地の町の魅力を奥山監督が振り返りました。

 赤井川村・小樽市・余市町・仁木町・石狩市・札幌市・苫小牧市の7市町村の風景を重ね、主人公たちが暮らす架空の町を作り上げた今作。撮影地は、奥山監督自ら実際に道内各地を車で回って決めていきました。

 奥山監督は、「観光地化もされているようなガイドブックに載っている景色よりも、美しいんだけど身近にもありそう。でもよく考えると絶対にない。日本に見えるけど海外にも見える。そんな景色を探したいと思っていた」とこれまで撮影されてこなかった北海道を探したかったと話しました。

 さらに、第77回カンヌ国際映画祭では、映画の舞台となった北海道が注目されていたと言います。

 「映画を見た人が『北海道撮影?』って興味津々に聞いてくるんですね。北海道っていうもの自体がヨーロッパの人から見ると興味の対象なので、そういった意味で『北海道で撮った映画って初めて見たかも』っていう感じでヨーロッパの人たちが喜んで景色たちも楽しんでくれたのがうれしかった」。(奥山監督)

 セミナーに参加した札幌市の40代女性は「作品の魅力づくりに北海道のよくある景色が一役買っているということに道民としてうれしく感じた。ヨーロッパの人が関心を持ってくれて北海道の映画を見てみたいって言ってくれたのはすごくうれしい」。

 また20代の中国人留学生は「私の実家も雪がないところなので監督の雪に対する感想に共感した。(映画を)必ず見たい」と話しました。

 奥山監督は、厳しい寒さの中に温かみがある景色が北海道の特徴だと振り返り、また北海道で撮影をしたいと締めくくりました。

 映画『ぼくのお日さま』は9月13日(金)から全国公開です。

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