沖縄の誇る写真家、石川真生さんのドキュメンタリー映画を、今年、立て続けに2本公開する。土門拳賞を受賞し、今年はまさに真生さんの年。本作には、ご自身が発表なさった写真集をめくりながら、当時を回顧する真生さんの姿が収められている。

 カメラをグッとにらむように見つめたり、ふと優しい笑顔を見せたり。そのうそ偽りない姿で真っすぐな言葉を紡ぐ姿に、自分の中のいろいろなうそが見透かされたような緊張感が走る。真生さんの視線には、愚かで醜くて、どうしようもない自分を自覚させる不思議な力がある。真生さんがカメラで撮ってきた人たちは、このまっすぐな視線を全身で受け止めた上で、あんなに魅力的なんだと改めて感動する。

 そんな真生さんに対峙(たいじ)し、カメラを向け、インタビューを撮り切った監督の勇気とパワーに感服した。

(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で上映中

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。