MODA SEAの(左から)P、剣矢、下田 RYUICHI、NAMERAN、INAZO=7月19日、宜野湾市内

 今、沖縄で最も波に乗っているトリビュートバンドと言えば、この名前が出てくるだろう。「MODA SEA(モダシー)」。日本のロックシーンを代表するバンド「LUNA SEA」のトリビュートバンドで、ボーカル・下田 RYUICHIの名をもじってバンド名にした。トリビュートバンドでありながら、その高い完成度と本家とはまた違うコミカルなパフォーマンスが話題を呼び、県外のイベントにも引っ張りだこの彼ら。人気絶頂の末に昨年解散したガールズグループBiSHとは2016年に東京でツーマンライブを敢行するなど、ミュージシャンからの人気も高い。本家LUNA SEAは7月13、14の両日に26年ぶりの沖縄公演を成功させたばかり。MODA SEAの熱き「トリビュートバンド道」に迫る。

熱演するMODA SEA=8月4日、那覇市内(MODA SEA提供)

MODA SEA
「LUNA SEA」のトリビュートバンド。沖国ロッククラブのメンバーで2006年に結成し、2013年から現体制に。下田 RYUICHI(vo)、INAZO(g)、NAMERAN(g)、P(b)、剣矢(dr)

本家からも認知

-MODA SEA結成のきっかけを教えてください。

INAZO 僕と下田と剣矢が、もともとLUNA SEAが好きだと公言していて結成しました。

P 僕は、サポートベースが抜けるというタイミングで、紹介で声をかけてもらって、二つ返事で加入しました。LUNA SEAを聴いてベースを始めたぐらい好きですから。

INAZO=7月19日、宜野湾市内

-MODA SEAがLUNA SEAに認知されているというようなお話を聞いたことがあります。

INAZO (LUNA SEAのギタリスト)SUGIZOさんが「沖縄にMODA SEAってバンドがいるらしいんだよね」と言っていたと伝え聞いたことはあります(笑)

P コピーをしていて本人に何かしらの形で認知してもらえていて、そんなうれしいことはないですよ。

(左から)P、下田RYUICHI=7月19日、宜野湾市内

全員で行ったLUNA SEAの沖縄公演

-LUNA SEAの沖縄公演、いかがでしたか?

P 2日間とも全員行きました。

NAMERAN 最強でした。

剣矢 26年前の沖縄公演にも行きました。翌日が期末テストで行くか行かないか迷ってたんですけど、行きました。

(左から)NAMERAN、剣矢=7月19日、宜野湾市内

―実は、下田さんの姿を会場で見つけていました。直立不動でステージを凝視していました。どのような心境だったのでしょう?

下田 いや、もう。いつも自分たちが演奏させてもらっている曲なので、観るところも聴くところも多すぎて。楽しみながらも多分、超集中していたんだと思います。すごくエネルギーを使いました。

P いちファンとして盛り上がるんですけど、MODA SEAのメンバーとしてだと「どんなことやってるんだろうな」って。ステージングとかパフォーマンスを見ていました。

-学びの場としてもいたんですか?

NAMERAN 楽しみ6割、学び4割でした。

剣矢 研修みたいな(笑)

MODA SEAがMODA SEAたる所以

-トリビュートバンドとしてのこだわりはどのような点にありますか?

INAZO 自分は、ストイックにSUGIZOさんのニュアンスを細かくチェックしながら弾いています。ギターソロの時はスライド奏法を忠実に再現しようとしています。そこまでやる人はあまりいないかと思います。

ステージで熱唱する下田RYUICHI=8月4日、那覇市内(MODA SEA提供)

 MODA SEAでやはり脚光を浴びるのは、下田の高い歌唱コピー力と、面白パフォーマンスのギャップだ。大きな体にキツめの白シャツを着て、ステージのクライマックスではボタンを弾き飛ばしてかわいらしいおへそをさらけ出す。本家・RYUICHIが決してしない類のパフォーマンスは、MODA SEAの代名詞だ。

-いちトリビュートバンドである前に、MODA SEAがMODA SEAである所以(ゆえん)はどこにあると考えていますか?

INAZO 下田は完全にオリジナルだと思います。歌はLUNA SEAから借りていますけど、ステージングとかはオリジナルですよ。

P 全員LUNA SEAが好きで、演奏をよりLUNA SEAっぽく、だけど下田を中心にしてステージを見せていくという点が「トリビュートバンドなんだけど、されどオリジナリティ」という部分だと思います。

下田 ちょっと難しい話になるんですけど、MODA SEAはエンターテイメントじゃないですか。だけど本物のLUNA SEAは本物として曲を作ってファンを増やしていく。そういう意味では、LUNA SEAは、僕らのように偽物にはなれないんですよ。「偽物がやるエンターテイメント」として確立できるのではないかと考えています。

-MODA SEAが人気を広げられているのはどうしてだと思いますか?

P 下田の役回りは大きいと思います。

下田 いやいや。MODA SEAには、LUNA SEAへの愛があるからですよ。押さえているところは押さえている。表面的なものではなくて、メンバーみんなとっても勉強して、とっても練習しています。「こいつら、ちゃんとやってるな」って分かってもらえているから、嫌みのないバンドになれているんだろうと思います。

「MODA SEAにはLUNA SEAへの愛がある」と繰り返し語る下田RYUICHI=7月19日、宜野湾市内

拝啓、LUNA SEAの皆様

-それぞれのパートごとに、LUNA SEAのメンバーに伝えたいことがあれば一言、お願いします。

INAZO(SUGIZO) 心の師匠です。一生付いていきます。

P(J) LUNA SEAを見てベースという楽器の存在を知りました。感謝しかありません。

NAMERAN(INORAN) どんどん若返っていくのは勘弁してください。ライブ衣装の猫耳がかわいすぎるのでほどほどにしてください。

剣矢(真矢) 20年以上聴いてきた真矢さんのドラムは、聴いたら一発で分かります。これからもそのままの勢いでいてください。

下田RYUICHI(RYUICHI) 許してください。

一同 (笑)
 

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