明治時代に始まった郵便が、大野でどのように暮らしを支えたかをたどる企画展が開かれています。展示の中には、大野出身の海軍少将が戦地から家族に宛てた絵はがきもあり、戦争中の郵便が安否の確認に大きな役割を果たしていたことも読み取れます。
       
大野市民俗資料館で始まった企画展「手紙のあるくらし」には、かつて郵便物を入れて運んだ「郵便行李」や、雪道での配達で使われた郵便用のスキーなどが展示されています。
 
会場には、大野出身の軍人が家族に宛てて送ったはがきも数多く展示されています。第一次世界大戦中、駆逐艦に乗り従軍していた海軍少将・河合退蔵は、地中海の諸国を移動する中で購入した絵はがきを使い、その土地の風土や自身の状況、家族の身を案じる便りを送っています。
  
戦地からのはがきには「軍事郵便」の判が押されていて、軍により検閲を受けていたものも見受けられます。
  
大野市民俗資料館では「(軍事郵便は)戦地にいる人々が日本に残っている家族に無料で出せる郵便で、遠く離れた異国で戦う人たちにとっては、安否を伝えるすごく重要な手段として手紙があった」としています。
    
第一次世界大戦が始まって間もない1914年、大正3年の母親に宛てたはがきには「便りはしばらく送れないがご無事でいてください」と短く書かれています。
 
学芸員の不二山あかりさんは「手紙は自筆の史料で、書いた人の気持ちがダイレクトに伝わってくる。会えない時間に対し、非常にまめに連絡を取っていたということもよく分かる。平時とは違った生活が、手紙を通して垣間見ることができる」と話します。

企画展「手紙のあるくらし」は、11月17日まで開かれています。

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