映画の序盤から、したたかな女たらしのイタリア男ジャンニに向かって私は、「うんと痛い目に遭えばいい!」と呪いの言葉を投げかけている。それが届いたのかどうか、ジャンニは調子のいいうそから始まる苦しい恋に身を焦がすことになるから、少しいい気味。

 どうも根が性悪な私は彼に同情することもできず、恋の相手のキアラに娘を重ねては「もっとふさわしい相手がいる」と説教したくなる。やきもきしながら恋の行方を案じていたら、キアラの名せりふ「私は体の不自由な人、能力の異なる人、下半身まひの人、あるいは障がい者。でも誰にも頼らない。とりわけ、あなたには」に、ジャンニと一緒にひれ伏した。

 本紙の連載小説「ひまわり」を楽しみに読んでいるが、障がい者という呼び名は、もうさすがに違うのではないかと思っている。

(スターシアターズ・榮慶子)

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