福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは、今回、夏休みの自由研究にもおすすめの、若狭町にある県年縞博物館を紹介します。美浜町と若狭町にまたがる三方五湖の一つ、水月湖は「奇跡の湖」と呼ばれています。その理由は、長い年月をかけて湖の底に土などが積み重ってできる縞模様の地層「年縞」があるからです。その「年縞」を紹介する博物館を訪ねました。
三方五湖の一つ、三方湖の近くに位置する県年縞博物館。中に入るとまず目に入るのが「年縞シアター」です。正面に広がるスクリーンと床面に映し出された映像で、水月湖の年縞から分かる自然環境の変化などを紹介していて、まるで水月湖に潜っているかのような体験ができます。
そもそも年縞とは、土や黄砂、プランクトンの死骸など、湖の底にできる堆積物の層が作る縞模様の地層のことです。
博物館の2階で最も目を引くのは、水月湖の7万年分という年縞が醸し出す「時間や歴史」を体感できる、長さ45mの「水月湖年縞7万年ギャラリー」です。
採取した水月湖の年縞が、ステンドグラスになって展示されています。
博物館のナビゲーター・福田英則さん:
「年縞の白い色は鉄を主成分とした化合物で、それが冬場に降り積もって白い層を作る。冬場から春先にかけては黄砂も降るため、白い層の中には砂粒なども混じっている。一方の暗い色は、暖かい時期に春や夏のプランクトンの死骸が落ち、それが焦茶色をしているのでこのような色に見える」
このような仕組みで作り上げられる年縞、木の年輪のように1年で一対できる縞模様を数えることによって、その縞が何年前にできたものかを1年単位で特定することができます。
過去の気候や自然災害、化石などの年代を特定する研究にも役立てられています。年縞を歴史の「ものさし」の目盛りとして、過去7万年の間に人類が経験した出来事をたどる年表や、年縞を使った研究など、より深く学ぶことができる様々な展示があります。
では、なぜこの地で7万年もの間、年縞が崩れることなく保存されたのでしょうか。
ナビゲーターの福田さんによりますと、「水月湖は川につながっていないため、水流などによって表面が荒らされることがなかった」というのが、理由の一つだということです。他にも「水月湖は水深が深いが、湖底に生き物が住んでいないため、表面が壊されることなく静かに積もることができた」というのも年縞が美しいまま残っていた理由だということです。
展示のほかにも、館内では4万年前の年縞がプリントされたネクタイなど、ここでしか買えない年縞博物館のオリジナルグッズも販売されています。
暑い夏のひととき、世界で唯一の7万年の年縞の歴史を堪能してみてはいかがでしょうか。
【年縞博物館】
アクセス:舞鶴若狭自動車道・三方五湖スマートインターチェンジから車で5分
料金:一般500円、小学生~高校生200円、小学生未満と70歳以上は無料
※ナビゲーターは前日までの予約制(追加料金なし)
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