能登半島地震で被災した石川県七尾市の中心部で13日、「七尾祇園祭」が開催された。地震の影響で住民が避難するなどし、例年11基出る奉燈(ほうとう)は8基にとどまったが、最大で高さ約15メートルの奉燈が担ぎ手の勇壮なかけ声と共に街を進み、復興を願った。
七尾祇園祭は「大地主(おおとこぬし)神社」の夏祭りで、平安時代に疫病退散を願う祭りとして京都の祇園社(八坂神社)から伝わったとされる。大地主神社は毎年5月、「でか山」と呼ばれる大きな山車をひく「青柏(せいはく)祭」も催すが、今年は地震で巡行路に家が倒れ込み山車がひけず、中止した。自粛ムードも広がる中、祇園祭は「復興の足がかりになれば」と氏子らが開催を決めた。
午後8時ごろ、海の近くで祭神が涼むために設けられた「仮宮(かりみや)」周辺に奉燈が集合。笛や太鼓の音色が鳴り響く中、一層栄えることを意味する「弥栄(いやさか)」を由来とするかけ声「サッカサイ、サッカサッサイ、ソーレ、イヤサカサー」に合わせて奉燈が乱舞し、一帯は熱気に包まれた。その後、神社に戻る祭神の足元を照らすため、各奉燈が神社に向かって街中を巡行した。
小学生の息子二人と祭りに参加した同市の会社員、松野大介さん(35)は「でか山はできんかったが、今回は奉燈が通る道を修理し開催できたのでありがたい。来年はさらに盛り上げたい」と話した。家の付近で奉燈の巡行を見守っていた60代の男性は「地震の後、沈んでいた街が活気づいた。やっぱり祭りはいい」と喜んだ。【国本ようこ】
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