ロビンやすおさんがデザインした長刀鉾保存会の手ぬぐい=京都市下京区で2024年7月4日午後3時58分、南陽子撮影

 祇園祭・前祭(さきまつり)の山鉾(やまほこ)巡行で先頭を進む長刀(なぎなた)鉾の厄除(やくよ)けちまきに、今夏初めて、長刀鉾のいわれや神宝を4コマ漫画で解説するリーフレットが添えられている。作者は、京都市在住の漫画家、ロビンやすおさん(49)。京都の元気印の小学生が、祇園祭で祭られる午頭天王(ごずてんのう)(素戔嗚尊(スサノオノミコト))をはじめ、神様たちと心を通わせていくファンタジー漫画「スサノオくん」の作者でもあり、同作を応援しようと長刀鉾保存会が作成した。

 1200円で授与されるちまきに同封されているリーフレットは、「スサノオくん」とコラボしたA4判1枚の二つ折り。長刀鉾は、15世紀の応仁・文明の乱以前の巡行を記録した古文書でも1番目に名が記され、現代では生稚児(いきちご)が乗る唯一の鉾となっている。スサノオくんが案内役となり、▽長刀鉾が巡行で先頭を進む理由▽長刀をめぐる刀工と武将の伝承▽懸装(けそう)品や装飾の意味――など「長刀鉾の秘密」をあらためて紹介している。

長刀鉾のちまきに添えられている「長刀鉾の秘密」=京都市下京区で2024年7月4日午後4時4分、南陽子撮影

 長刀鉾保存会専務理事の川那辺健治さん(76)は「スサノオくんには人を引きつけるものがある。漫画という方法も分かりやすく、八坂さんのお祭りを勉強し直すのにとてもいい」と話す。これまで厄除けちまきに長刀鉾の解説書を添えたことはなかったという。

 「スサノオくん」は2022年春に「主婦と生活社」の電子書籍サイトで連載配信が始まった。ロビンさんは展開を練る段階から長刀鉾保存会を取材。第8話は、神仏や霊が見えることをとがめられて悩むスサノオくんと素戔嗚尊との出会いを描き、本編を補う4コマ漫画に長刀鉾を登場させた。が、配信は第12話で打ち切りに。第9~12話収録の単行本第3巻は、紙ではなく電子書籍の刊行となった。

noteで連載中の漫画「スサノオくん」第13話の一場面

 他方、読者を増やそうと奔走するロビンさんは昨夏、別の縁で出会った船鉾保存会に「船鉾の秘密」と題したリーフレットを作って贈った。長刀鉾保存会の川那辺さんは「うちにも描いて」と応援に乗りだし、さらに長刀鉾の新しい手ぬぐいを作ろうとデザイン画をロビンさんに依頼。手ぬぐいと、スサノオくんの第1・2巻をセットにして13~16日に四条通の会所で販売する(2000円、900セット)。

 「私にとって祇園祭は特別なお祭り。万単位で授与されるちまきをはじめ、スサノオくんを広く知ってもらう機会をいただき夢みたいです」とロビンさん。1日からは、長刀鉾を舞台にした第13話を投稿サイト「note」で自主連載している(http://note.com/susanoo8/)。ロビンさん自身が長刀鉾に感じた「吸い上げられて過去につながる感覚」を生かし、スサノオくんが友達のために祇園祭の歴史をタイムトラベルする物語となっている。【南陽子】

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