国内外のコンクールで多数入賞し、人気を集めるバイオリニストの高木凜々子(りりこ)さん(27)。バイオリニストの両親の下で育ち、幼少の頃から日常に音楽があふれていたため、小中学生時代に出会った先生や友人は、音楽以外の世界とつながる貴重な存在だという。学校生活や音楽の道を志した経緯について話を聞いた。【聞き手・須藤唯哉】
3歳からレッスン
両親ともオーケストラのバイオリン奏者なので、母のおなかの中にいる時から、バイオリンは身近にあったと思います。楽器との出合いは、2歳の時でした。
記憶にはありませんが、祖母の自宅にあった壊れたバイオリンと弓を引っ張り出してきて、ギーギーと音を鳴らしていたようです。母から「そんなに弾きたいんだったら」と言われ、3歳から先生に付いて、本格的にレッスンを受け始めました。
音楽の道に進もうと決めたのは小学4年の時。父から「バイオリンか、それとも勉強か」と選択を迫られて「バイオリンがいい」と答えました。父は、このままだらだらと楽器を続けていても仕方がないと考えていたのかもしれません。
勉強の道を選択していたら、おそらくバイオリンはやめさせられていたと思います。でも、やめたくありませんでした。練習は大嫌いでしたが、発表会やコンクールの時に舞台に立って、人前で弾くのが大好きでした。
学校は音楽以外の世界との関わりの場
小中学校は自宅近くの公立に通いました。小学3、4年の時に、同級生との関係がうまくいかない時期がありました。また、当時の担任の先生も、レッスンなどのために学校を休むことを認めてくれず、信頼されていないように感じていました。
でも、5年生の時の担任の先生のおかげで学校が楽しくなりました。「バイオリンを一生懸命頑張りたい」と伝えたら、応援してくれました。私だけでなく、他の生徒からも人気がありました。授業も面白かったし、生徒一人一人のことを見てくれているという安心感がありました。
その先生とは、今も交流が続いています。まだ現役の教員をされているので時々、学校に呼ばれて、子どもたちの前で演奏しています。「チャルダッシュ」のような楽しい小品が喜ばれるのかと思いきや、演奏後にはブラームスやベートーベンのバイオリンソナタが良かったなどの感想があり、「いい曲は伝わるんだな」と感じます。
高校からは音楽が専門の学校に進学し、学校でも家でも音楽の話をするのが当たり前。だから、小中学生の時の方が、全く違う世界との関わりがあって新鮮でした。当時の友達とは今でも会っていて、リサイタルにも来てくれます。バイオリニストではない自分を見てもらっている気がして、大事な存在です。
たかぎ・りりこ
1996年生まれ。東京芸大付属高校を経て、東京芸大3年の時にバルトーク国際バイオリンコンクールで第2位。その後、ソリストの活動を本格化し、オーケストラと多数共演。9月に新作アルバムをリリース予定。
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