水戸市中心市街地の旧三菱UFJ銀行水戸支店(泉町3)とその周辺で、美術館とカフェ、コミュニティースペースからなる複合施設の整備が進められている。市民会館や水戸芸術館にも近く、運営を担う財団法人は「誰もが気軽に芸術文化に触れて楽しめるようにし、街のにぎわいの創出を目指す」としている。
施設の名称は「テツ・アートプラザ」で、2025年秋に開館予定。明治期に建てられた旧銀行をコミュニティースペースに改修し、西側に美術館、東側にカフェを新設する。地上3階建てで、延べ床面積は約2500平方メートル。このために設立され、アパレル大手、アダストリア(東京都渋谷区)代表取締役会長、福田三千男さん(77)が理事長を務める「哲文化創造一般財団法人」が運営する。
美術館は絵画と工芸部門に分かれ、絵画部門では福田さんが収集した横山大観や中村彝(つね)など、茨城にゆかりのある作家らの作品226点を収蔵。工芸部門では、吉田石油(笠原町)前会長の故・吉田光男さんが集め、寄贈したシルクロード地域や日本の焼き物を中心とした工芸品など383点を収める。美術館の名称は「クヴェレミュージアムMITO」とした。クヴェレはドイツ語で泉を意味するという。
コミュニティースペースは、さまざまな年齢層の憩いの場となるよう、ワークショップや講座、親子対象イベントの開催や地域サークルの発表の場などとして活用する。
旧銀行の建物は1909年に完成し、現存する洋風建築として貴重なものとされる。45年の水戸空襲で被災したが、レンガの壁や一部の塀が残った。戦後に鉄筋コンクリートで改修され、19年まで銀行として使われていた。美術館など増築部分の外壁に、被災前を模したレンガを用いるという。
整備計画は、11日に財団が市内で会見を開いて明らかにした。会見で福田さんは「この地で生まれ育ち、銀行の建物は象徴的な場所だった。さまざまな方が集い、緩やかな時間を過ごせるような場所にしたい」と話した。【鈴木敬子】
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