9年前に話題となった驚異的な計算能力を持つ秋田市の少年が、「文化部のインターハイ」といわれる全国高校総合文化祭に秋田県代表として出場する。少年のいまの素顔と、大会にかける思いを取材した。

9年前の2015年に行われたそろばんの全国大会。珠算能力検定1級や暗算検定五段など、驚異的な計算能力を持つ少年、秋田市の高山皐君が出場した。当時小学2年生の高山君は、この大会で「読み上げ暗算」など2種目で全国3位に輝いた。

当時、高山君は「本当は優勝を狙っていたので、そんなにうれしいわけでもない。悔しいは悔しいです」と語っていた。

そして、高山君とフラッシュ暗算対決をした竹島知郁アナウンサーは、身をもって高山君の実力を感じていた。

あれから8年。高山君が通っている秋田高校を訪ねた。高山君は現在、高校2年生になり、クラスの学級委員長を務めている。高山君がいま夢中になっているのが「囲碁」だ。

 秋田高校2年・高山皐君:
「囲碁は基本的にどこにでも碁石を置けるが、その自由さが魅力的。将棋は指せるところが決まっているが、囲碁は自由で、どこに置いても自分らしい世界で打てる。その魅力が他にはない」

8年前に自宅で取材した際も、高山君の机の横には碁盤があった。お父さんが碁石を打っている姿を見て、「自分もやりたい」と5歳で囲碁を始めたという。

現在は秋田高校の囲碁部の部長を務め、10人ほどの後輩や仲間たちとともに囲碁の世界に浸っている。

囲碁部の後輩に、高山君がどんな先輩か尋ねてみると「面白いし囲碁も強い。尊敬する先輩」と答えた。

また、囲碁部の同級生は「囲碁ができることはもちろんだが、初心者が多い囲碁部の中で、高山君はゼロから教えるのが上手。十九路盤で勝負できるようになっているのは、高山君のおかげだと思っている」と笑顔で話した。

そろばんや暗算が囲碁に生きているか聞いてみると、高山君は「囲碁で囲った場所を数える時に、他の人よりも早く碁石を数えることができる。思考力や先を読む力を使う中で、そろばんで培ってきた集中力や計算力がすごく生きていると思う時が多くある」と教えてくれた。

現在、五段の実力を持つ高山君は、秋田県内の囲碁界に新たな風を吹き込んでいる。1年生で出場した県大会から個人戦・団体戦で優勝し、2024年の大会でも見事優勝、連覇を果たした。

7月末に岐阜県で開幕する全国高校総合文化祭には、囲碁部門の団体戦に大将として出場する。

 秋田高校囲碁部・樫尾尚樹 顧問:
「力は全国で1・2番になれるような、優勝できるような力はある。ことしの全国高校総合文化祭(囲碁部門)は岐阜県高山市で行われるが、“高山”君なので、勝てればいいなと思っている」

高山君と仲の良いトーマス先生も「高山、頑張って!」とエールを送る。

 秋田高校囲碁部部長・高山皐君:
「全国各地から精鋭が集まって対決できることにわくわくする。囲碁を通じて新しい友達と触れ合えるのは、全国大会の大きな魅力。楽しい気持ちを大事にして頑張りたいし、その中で勝ちたい気持ちもあるが、いろんな人と打つ中で自分自身が成長できたらいいし、得られるものがあればいいなと思っている」

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