「株式会社オリジンlil」の会長に就任したひーぷー(左)と、社長に就任した首里のすけ=3月、那覇市港町の同社事務所

 こきざみインディアンやひーぷーらが所属する沖縄の芸能事務所「オリジン・コーポレーション」が4月11日、新会社「株式会社オリジンlil(リル)」として法人化した。会長にひーぷー、社長に現代表でお笑いコンビ「しんとすけ」の首里のすけがそれぞれ就任した。オリジンは法人化に先立ち、3月8日に石垣支部、4月1日に東京支部をそれぞれ開設し、活動拠点を広げていた。法人にすることで社会的信用を高め、より幅広く、積極的に事業展開する狙いがある。

 新会長のひーぷーは、前会長の真栄平房修氏、元相方の金城幹雄氏と事務所を立ち上げた創業メンバー。「年功序列で(会長の)役割が回ってきただけです」と謙遜(けんそん)しつつ、創業28年を経て新たな門出を迎えることに「事務所が安定しつつある中で、新しい挑戦をする時期に来ている」と今後を見据えている。(文・写真=ライター・長濱良起)

一口メモ:オリジン・コーポレーション
 1994年に旗揚げした、那覇市に拠点を置く芸能事務所。お笑い芸人や俳優、タレント約60人が所属し、テレビやラジオ、イベントなどで活躍している。所属は他にノーブレーキ、じゅん選手、スズカーサーキット、あーりーなど。スリムクラブ、キャン×キャン、ハンジロウ、三日月マンハッタンといった東京で活躍する芸人も輩出している。
公式サイト:https://origin-oze.com/

事業の幅、もっと広げたい

ひーぷー(右)と首里のすけ=3月、那覇市港町の同社事務所

 -法人化に至った経緯を教えてください。

 首里のすけ 沖縄県外で仕事をする上で、契約面を含め、より信用度の高い取引がしたいというのが理由の一つです。県内だと、所属タレントの知名度やこれまでの実績である程度の信用を得られていたのですが、県外だとそうはいかないこともありました。

 ひーぷー 県内でも、公共性の高い仕事は法人の方が受注しやすいという側面があります。

 -社名「オリジンlil(リル)」に込めた意味を教えてください。

 首里のすけ オリジンが掲げるミッションは「沖縄から世界に 愛を笑いと感動を」です。この英語、Love(愛)、Laugh(笑い)、Impression(感動)の頭文字を取って「lil」に並び替えました。ヒップホップの世界では「Lil(リル)」が「〇〇ちゃん」みたいなかわいい意味もあって、ちょうど良いな、と。

社長に就任した首里のすけ=3月、那覇市港町の同社事務所

30年前は「何も仕事なかった」

 -4月に東京支部を設立しました。どのような狙いがありますか。

 首里のすけ 所属タレントのベンビーが4月から東京を拠点に活動するので、事務所としても、オーディションなどの情報を積極的に得たり、各方面にパイプを作ったりしたいと考えています。沖縄の芸人が定期的に東京に行ってライブをすることも考えています。

 ひーぷー 層の違うお客さんの前に立つことで、芸を鍛えられる良い機会になると思います。

 首里のすけ 沖縄県民のみならず、観光客も笑わせられるネタも作らないといけない。そうすることで、できる仕事の幅が増えていくはずです。

 -設立からの28年間を振り返ってどうですか。

 ひーぷー 最初は何も仕事は来ないし、スケジュールが書かれるホワイトボードは真っ白でした。今のように仕事ができているとは、当時は思ってもいませんでした。振り返ってみるとびっくりですね。もう30年近くたつのかと。

会長に就任しひーぷー=3月、那覇市港町の同社事務所

転機は「こきざみインディアン」

 -これまでの歴史の中で、転換点となったのはどのタイミングでしたか。

 ひーぷー 個人的な転機は、約20年前にラジオ(ROK「ティーサージパラダイス」)が始まったことですね。それまでは全く仕事がなくて、まだバイトしていましたからね。ケーブルテレビ局・OCNの電話番をしていました。あの頃は、いろんな芸人がそのバイトをしていたんですよ。Kジャージも、スリムクラブの(真栄田)賢もやっていました。事務所としての大きな波の一つは、こきざみインディアンの人気が出た時かな、と思います。彼らが20歳ぐらいの時に、めちゃくちゃ仕事の依頼がたくさんあったんですよ。「家に帰る時間もない」ってことで、事務所の近くにアパートを借りようかという話になったほどでした。

県外のみならず海外へ

 -その当時が転換期だとしたら、今はどのような時期にありますか。

 ひーぷー 今は、割と安定していると思います。その安定期の中で「そろそろ県外にも進出していかなければ」という、新しい挑戦をする時期に来ているといえます。

 首里のすけ 台湾など海外でもライブをしてみたいと思っています。言葉の問題があるので、初めのうちは台湾在住の沖縄の人をターゲットに日本語でやってみるとか。いろいろ動きながら、どのような形で海外の方にも楽しんでもらえるのかを模索していきたいです。全国にも積極的に足を運んで場数を増やし、東京の賞レースでも勝っていけるような実力を育てていきたいと考えています。

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